研究課題/領域番号 |
19K20523
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小田 なら 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 特任研究員 (70782655)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ベトナム南部 / 南薬 / 仏教 / 伝統医療 |
研究実績の概要 |
研究の初年度である本年度は、まず、既存研究から仏領期以降のベトナムにおける仏教団体の伝統医療による医療活動を包括的にとらえることを試みた。また、ドイモイ以降に着目すると、ベトナムの寺院では南部・北部問わず無償医療支援活動がことに近年活発化しており、若い世代のカジュアルな参加が増えていることが分かった。 ベトナムでの現地調査では、ハノイの国家図書館とホーチミン市の総合科学図書館で仏領期の新聞資料を中心に閲覧し、本研究課題の中心となる浄土居士仏教会を位置づける手がかりをつかんだ。そこからは、浄土居士仏教会は仏領期にも周縁に置かれていたこと、およびベトナム北部には広まっていなかったことが明らかとなった。また、内部資料からは、開祖のグエン・ヴァン・ボンは儒学を修め、治療に長けた人物とされているが、彼が仏教団体を率いることになった儒学との思想的な連関に着目する重要性が浮き彫りとなった。一方で、ベトナム国内でもまとまった研究がなく、また、教義については内部資料に頼るしかないため、今後も調査が難航するであろうことも判明した。 研究成果の一部は、「現地化する医療―ベトナム伝統医療における『華人』」として、研究課題「ベトナム・中国二国間関係の下で揺れ動くベトナム華人に関する歴史的研究」(科研基盤B・代表伊藤正子)の成果報告会/日本ベトナム研究者会議研究会および東南アジア学会関西例会、第11回アジア研究者会議(ICAS11)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本国内の資料収集はほぼ予定通り遂行することができたものの、年度末に予定していたベトナムでの現地調査は新型肺炎をめぐるベトナムでの社会状況から、感染予防のために短縮せざるを得なくなった。そのため、当初計画していた寺院での調査を自粛し、文献調査も予定していた3か所のうち2か所でのみおこなった。寺院での調査が不足しているため、計画よりも進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の現地調査の実施可否が不透明であるため、海外渡航の可能性が低い前期には2019年度に入手した文献・資料をまとめ、計画を練り直す。また、すでに出版が予定されている論集”Cold War Medicine in Southeast Asia”(仮題)の分担執筆箇所にこれらの成果を反映させる。 現地調査が可能になり次第、1)浄土居士仏教会の寺院(ホーチミン市およびカントー市)における聞き取り調査および2)ベトナム国家第二文書館での資料調査を進める。聞き取り調査と文献調査によって、治療に用いる薬(薬草)の入手法と浄土居士仏教会の治療師が治療をおこなうようになった背景を制度化された公的医学とのかかわりから明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末におこなう予定だった現地調査が新型コロナウイルスの流行を受け、短縮せざるを得なかったため。
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