研究課題/領域番号 |
19K20526
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鵜戸 聡 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (70713981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ユマニスム / マグレブ文学 / アラブ文学 / ベトナム文学 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響で海外調査や内外の研究者との対面集会は軒並み実施不可能となってしまったため、刊行物を中心とした研究資料の収集とその分析に努めるとともに、オンラインでのシンポジウムや学会に参加した。 後者の一例として、日仏会館の国際シンポジウム 「植民地化・植民地支配・脱植民地化の比較研究―フランス・アルジェリア/日本・朝鮮関係を中心に―」において「日本・アルジェリア・朝鮮を結ぶアジア・アフリカの次元-堀田善衛・マムリ・金石範をめぐって―」と題して研究報告を行ったが、これは本課題の主たる研究対象であるアラブ=ベルベル文学の代表的「ユマニスト」であるムールード・マムリを中心に論じたものである。 また、モハメド・ディブの短編小説「旅人」やアイト・メンゲッレトの歌謡の翻訳も行うなど、アルジェリア文学の研究を進めたが、加えて、フランス統治期のベトナム・フランス語文学の研究に着手し、ヨーロッパ式の教育を受けた新しい女性の表象に注目しつつ、そこで「ユマニスム」の語がどのように用いられているのかを分析している。西洋とその外部との何らかの文化的交流を「ユマニスム」の語で形容する傾向は植民地時代から現在にかけてしばしば観察されるが、この語に託された価値の体系を通時的に分析する際に、マグレブとインドシナを比較していくとことは有用と考えられる。 そのほか、アラブ演劇史における宗教の問題について事典の項目を執筆し、現代チベット小説『雪を待つ』(ラシャムジャ著)やアルメニア系イラン作家ゾヤ・ピールザードに関する論考も著した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による海外調査の先送りという点を除けば、計画の順序を入れ替えつつ、状況の許す範囲で概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現状ではこれまでの通り、文献の収集と分析に傾注せざるを得ないが、海外出張が可能となった時点で早急に現地調査や海外研究者との対面交流の機会を設けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって国内外の出張を全て取りやめたため、出張費分が年度内に使用できなかった。海外出張が可能となった時点で、現地調査や海外研究者の招聘に使用したい。
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