本研究では、高度情報化時代に対する権威主義国家の適応を、世界的に見ても情報化が進む湾岸産油国の事例分析から論じた。とくに、本研究では「アラブの春」を前後としたメディアに対する、あるいはメディアを通じた統制監視手法の連続性とその高度化という問題に着目した。他地域の事例も参考にしながら、情報化が権威主義国家を強化する可能性や条件を探った。本研究を通じて、経済力を高めた湾岸産油国は、急速な情報化を遂げ、多くの国では情報部門の民営化が進んでいることが明らかとなった。その一方で、どの国でも政府が民間企業を通じた情報統制の方法を高度化させており、情報自由化を統御している実態が明らかになった。
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