新型コロナ・ウィルス(COVID-19)による渡航制限のために、大幅な計画変更の必要が 生じ、当初の目的の多くを達成することができなかった。本研究の目的は、マレーシア、インドネシア、東ティモールを事例に、学術面では、どのような条件でインフォーマル・リサイクルが成立し、どのような条件の時に最も盛んに行われ、どのような時に衰退していく のかについて明らかにすることであり、実務面では、各条件下でどのような政策を行うことがインフォーマル・リサイクルも最も効果的に活かすことができるのかを明らかにすることであった。2021年度は2020年度と同様全く渡航することができず、フィールド調査を基本とする本研究においては研究の遂行自体の危機が生じるほどの影響を受けた。 このような中にあって本研究では、過去に申請者が得た一次データに、オンラインでの聞き取りによる調査で得られたデータを加えた分析を主に行った。これにより、インドネシアのバンタル・グバンを事例としたウェイスト・ピッカーたちの経済レベルについて秋からにすることができた。 また、大きな成果として、文献整理が進んだこと、および、東ティモールにおける調査基盤の整備が進んだことがあげられる。申請者は調査地での豊富な経験を有しており、調査地で得られたデータを相対化するために、文献調査に取り組んだ。これにより、インドネシアの事例を相対化することができた。 フィールド調査を基本とする本研究において、新型コロナ・ウィルスの影響は極めて大きかった。しかしながら、文献の整理については相当程度進ませることができたため、一次データの分析に基づくという当初の計画は変更せざるを得なかったが、文献整理により当初の目標のうちある程度を達成することができたと考えている。
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