研究課題/領域番号 |
19K20536
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
井上 陽介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (80722016)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経済発展 / 都市化 / 炎症 / 非感染性疾患 / ベトナム |
研究実績の概要 |
本研究の対象地であるベトナムは、1986年に決定されたドイモイ政策の導入以降、急激な経済発展の中にある。主要経済指標は改善しているものの、生活習慣病(非感染性疾患(NCDs))の増加傾向は顕著であり、特に早期死亡原因の上位を占める心血管疾患(CVDs)による疾病負荷は大きい。 本研究は代表者が所属する国立国際医療研究センターとニャチャン・パスツール研究所が共同で行うCVDコホート研究の一部として実施するものである。共同研究は地域住民約3000人に対してベースライン調査を実施したうえで10年間の追跡を行うというものであるが、本研究はそのベースライン調査で収集された血液サンプルを用いて、CVDs発症との関連が報告されている炎症マーカー(C反応性タンパク質(CRP))を測定する。質問紙調査・身体測定のデータとの関連を検討することで、CVDsによる疾病負荷の軽減策を立案するための基礎資料を提供することをめざす。 初年度はニャチャン近郊のコミュニティにおいて実施した質問紙の妥当性検証の結果をもとに、質問紙の修正をニャチャン・パスツール研究所職員とともに行った。その後、質問紙調査を実施するインタビュアーのトレーニングを実施したうえで、計4つの地区に居住する40~59歳の住民1399名から質問紙情報の収集、血液サンプルの収集をすることができた。また、CRPはニャチャン・パスツール研究所内の実験室で無事に測定することができた。 質問紙では、基本属性(性別、年齢、職業、学歴、世帯収入、資産、幼少期の社会経済状況)、生活様式(食事[食事摂取頻度調査]、身体活動量[国際標準化身体活動質問票]、喫煙、飲酒、睡眠、テレビ視聴時間、ソーシャル・キャピタル)などを幅広く収集した。初年度分のデータについては、データクリーニングもすでに完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
順調に質問紙データおよび血液サンプルの収集が進んでいる。また収集されているデータのクオリティも良好である。
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今後の研究の推進方策 |
第二年度は残りのサンプルの収集および質問紙データの収集を行う。先述の通り、質問紙には、経済発展に伴い変容している食生活や運動習慣の詳細なデータ、さらに、耐久消費財の所有、ソーシャルキャピタルなど、幅広い内容が含まれている。血液サンプルの収集、およびCRP測定が行われ次第、データベースを整備し、具体的な統計解析を行っていく予定である。なお、当初計画では、村長などのキーインフォーマントに対するフォーカスグループインタビューを実施する予定であったがCOVID-19によって渡航計画が現時点では不透明であるため、適宜カウンターパートのスタッフと連携しながら、必要な情報を収集する予定である。
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