研究課題/領域番号 |
19K20541
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 亮平 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20780092)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域リハビリテーション / カンファレンス / アイデンティティ / 診療所 |
研究実績の概要 |
プライマリ・ケアに従事する数少ない理学療法士を最大限に活かし、非リハビリテーション専門職がリハビリテーションの視点を修得していくためには、理学療法士と非リハビリテーション専門職による実践共同体の構築が期待される。実践共同体とは、「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を持続的な相互行為を通じて深めていく人々の集団」と定義され、「学習のための共同体」とも言われている。本研究における「学習のための共同体」は、診療所に勤務する理学療法士を含む多職種とし、具体的な「学習の場」の一つとして、診療所内で多職種によって行われるリハビリテーションカンファレンスに着目した。初年度は、診療所内で行われる在宅患者に関するリハビリテーションカンファレンスにおいて、多職種がどのようなやりとりをしているのかという現状を明らかにするため、データ収集を行った。 本研究は、ケーススタディの手法を用いた質的研究を用いた。研究の対象は、ある診療所で行われているリハビリテーションカンファレンスに参加する診療所内外の専門職とし、本研究の内容を書面および口頭で説明し、書面にて同意を得た。データ収集では、リハビリテーションカンファレンスを録画・録音した。またカンファレンスに参加した多職種に個人インタビューを行った。データ分析では、カンファレンスの録画・録音データをもとにカンファレンスにおける多職種のやりとりを談話分析する。また、インタビューデータを用いて、各専門職が理学療法士との協働やリハビリテーションカンファレンスから何を学び、どのような自身の臨床実践にいかされているかについてテーマ分析する。現在はデータ収集を終え、データ分析中である。 今後は、これらの研究結果等をもとに教育プログラムの開発を行い、リハビリテーション専門職がいない診療所等で実施し、その効果を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から研究スケジュールを吟味し、倫理委員会への申請や研究対象施設への協力依頼を計画的に進めてきた。COVID-19の流行に伴い、一部データ収集ができなかったところもあるが、流行前に今年度予定していたデータ収集は概ね終えていたため、データ分析を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に収集したデータを分析し、非リハビリテーション専門職がリハビリテーションの視点を修得していくための教育プログラムを開発する。次年度以降は、①研修医を対象にしたリハビリテーションの視点教育プログラム、②リハビリテーション専門職がいない診療所に勤務する専門職を対象にしたリハビリテーションの視点教育プログラムの2つを計画している。 ①研修医対象:研究者(理学療法士)が研修医の外来診療や訪問診療に同行し、患者・家族とのやりとりを記録する。診療後にリハビリテーションの視点から研修医にフィードバックするとともに、定期的に研修医の振り返りを行う。これらのプロセスを6-12ヶ月継続し、終了後、研修医がリハビリテーションの視点について気がついたこと・学んだこと、また自身の臨床実践の変化について個人インタビューを行う。 ②診療時に勤務する専門職対象:①研修医を対象とする研究と同様に、研究者(理学療法士)が診療所に勤務する医師の外来診療や訪問診療(看護師も同行)に同行し、患者・家族とのやりとりを記録し、診療後にリハビリテーションの視点から気がついたことを医師・看護師にフィードバックする。また研究者は、診療所内で定期的に開催されるカンファレンスに参加し、リハビリテーションの視点から助言する。さらに、医師・看護師といった診療所に勤務する専門職と一緒に、リハビリテーションの視点から患者・家族にどのような関わりができそうかをディスカッションする。これらのプロセスを12ヶ月程度継続し、終了後に診療所に勤務する専門職を対象に個人インタビューを行う。
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