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2019 年度 実施状況報告書

中国におけるデジタル経済の進展と影響:農村部の変化に注目して

研究課題

研究課題/領域番号 19K20543
研究機関横浜国立大学

研究代表者

張 馨元  横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (60635879)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードデジタル経済 / 農村開発 / 中国経済
研究実績の概要


2019年度は本研究実施の最初の年である。研究活動は、小課題①都市部と農村部のデジタル格差の解明と、小課題②農業部門におけるデジタル経済の進展の把握を中心に行われた。
2019年度の研究活動により、以下の点において進展があった。第1に、世界銀行やIMFなどの国際機関が発表する報告書と統計データを整理し、現在の国民経済計算(SNA)では、デジタル技術が実体経済へもたらす影響を十分に反映できない部分について、その内容を確認できた。第2に、中国経済、とりわけ農村発展に関する資料分析を行い、地方都市におけるデジタル経済の普及状況とデジタル格差についてある程度、把握することができた。第3に、デジタル経済の発展を支えるキャッシュレス決済、いわゆる携帯電話を用いたデジタル決済の普及状況と仕組みについて、日中両方の研究者と意見交換を行い、以下の点が明らかになった。すなわち、新興するデジタル決済は、銀行などの金融機関が運営する既存の決済システムを根底から変化させるものではなく、デジタル決済が既存の銀行決済システムの下層部に融合している点である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度の研究活動が計画より遅れている理由は下記2点にある。第1に、政治的理由である。周知の通り、2019年夏以降、在日中国籍研究者が中国で無断に逮捕された事件、日本人研究者も中国への研究出張中に逮捕される事件が発生し、現在の政治体制下で中国へ出張し、農村経済に関する研究活動を行うことが困難であると判断した。第2に、コロナ感染症の拡大による影響である。中国では2020年1月下旬より、日本では3月下旬より、地域を跨る移動及び研究活動ができなくり、計画した資料調査がある程度できたものの、年度中に現地調査を実施することができなかった。

今後の研究の推進方策

上記の理由から、今後2~3年において中国における研究活動の実施環境が改善されないと見込んでいる。したがって、以下3側面において、2020年度以降の研究計画を修正し、新たな推進方策を模索したいと考えている。
第1に、資料調査により力をいれる。これは、政治面からの研究活動への妨害、そしてコロナ感染症による移動制限を回避するために、比較的実行しやすく、有効な方策である。
第2に、調査対象の範囲を拡大させる。中国国内居住者のみならず、海外の華人ネットワークを利用し、「海外代理購入(代購)」などの経済現象に注目し、バイヤーと購入者の行動を分析することで、中国の農村地域におけるデジタル経済の状況を把握する。
第3に、研究代表者が自ら実施する現地調査の計画を休止し、調査会社を通じて、中国の地方都市住民を対象にオンライン調査を実施する。情勢が許せば、2020年度中に、調査会社の協力の下で予備調査の実施を目指す。

次年度使用額が生じた理由

前述のように、中国国内の政治情勢及びコロナ感染症の拡大により、2019年度では、現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。
2020年度では、資料調査及び調査会社を利用したアンケート調査を中心に、研究を進める予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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