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2023 年度 実績報告書

フランスにおける共同体主義―ムスリムとユダヤ人を対象とした政策の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K20553
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

大嶋 えり子  慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90756066)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード共同体主義 / フランス政治 / 移民 / ナショナリズム
研究実績の概要

本研究はフランスで広く一般的に使用されている共同体主義 (communautarisme) という概念の意味および用いられる際の意図や文脈を明らかにするものである。最終年度ではとりわけユダヤ人コミュニティをめぐる言説を研究対象とした。
共同体主義の概念がユダヤ人に用いられているのか、用いられている場合にどのように用いられているのか、そしてその使用がどのような影響を及ぼしているのかを検討した。これまでの調査で、統合高等評議会の報告書では、ムスリムにはこの概念が使用され、ムスリム・コミュニティの様態が問題視されてきたのに対し、ユダヤ人には使用されていないということが明らかになった。ユダヤ人コミュニティの規模は約45万人と推定され、フランスの人口の1%にも満たない。そのため問題視されづらいのに対して、ムスリムは約10倍いるため、注目されやすく、攻撃の対象にもなりやすい、と考えられる。また、フランスは対独協力を行ったヴィシー政権下で多くのユダヤ人を強制収容所に送り、ホロコーストにおいて積極的な役割を果たしたことからも、歴史的に根強くありつつも反ユダヤ主義はフランス社会では強い批判の対象となるため、ユダヤ人コミュニティへの批判は少なくとも政府レベルでは行いづらい状況であることも確かである。以上を踏まえ、政治家によりなされたユダヤ人コミュニティへの数少ない「共同体主義」批判を取り上げ、事例の希少性および言説の内容を考察し、フランス社会における「共同体主義」概念が何を意味しているのかを本研究では検討した。
共同体主義概念は右派にも左派にも使用され、フランス式の平等理念に背くコミュニティに使用されると同時に、ユダヤ人コミュニティ特有のトランスナショナル・ナショナリズムへの批判としても機能していることが明らかになった。ただし、どのような場合も国民国家を無批判に前提としている言説である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] フランスにおけるアルジェリアをめぐる記憶2024

    • 著者名/発表者名
      大嶋えり子
    • 学会等名
      隠された記憶を掘り起こす ―フランス共和制におけるマイノリティから考えるー
  • [学会発表] ユダヤ人コミュニティをめぐる言説―フランスにおける「共同体主義」概念の使用に関するムスリムとの比較検討2023

    • 著者名/発表者名
      大嶋えり子
    • 学会等名
      日本国際政治学会

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公開日: 2024-12-25  

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