研究課題/領域番号 |
19K20557
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
坂梨 健太 龍谷大学, 農学部, 講師 (90749128)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カカオ生産 / 熱帯林 / 労働問題 / 移民 / フェアトレード |
研究実績の概要 |
昨年度同様に、コロナの影響で現地調査を行うことができなかった。新たな調査地域として念頭においていた、インドネシアのスラウェシ島での現地調査は全くできなかったが、スラウェシ産のカカオ豆を扱っている日本のチョコレート会社に対して、コロナ禍でのカカオ農家の状況やカカオ生産のプロセスについて簡単な聞き取り調査をすることはできた。コロナ禍におけるカカオ生産や流通の変容という新しい課題も浮かび、本テーマをより深掘りできるきっかけを得た。詳細なデータに基づいた研究を行うためには、現地調査を遂行できるかどうかにかかっている。 新たなデータを十分に得らなかった一方で、これまでの調査データをもとに、「人の移動」や「労働」という本テーマに沿った形に練り直した論考の発表、および、オンラインでの学会報告を行い、一定の成果を出すことができた。具体的には、カメルーン南部のカカオ生産地域において、未舗装の赤土の道からアスファルト道路に変わり、交通網が再編された後の地域経済の影響について分析した。道路の改善に反応して、農民がカカオ畑を拡大することも、業者が流通を活発化させることもすぐに見られず、現地ではこれまでと変わらない食料生産や狩猟採集といった生業活動がおこなわれ、それらと併行した形でカカオ生産が行われていることを明らかにした。また、道路工事によって住居や畑が破壊される際の補償金をめぐる問題や他地域から動員された労働者の現地への影響など、道路工事中の「人の移動」に焦点を当てたことで、これまでの研究と異なる視点を提供できたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスによって海外調査ができないため。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査ができないことを想定して、異なるアプローチから本テーマに迫る研究に着手する。具体的には、日本とアフリカの農業を含めた経済関係にかんする資料をもとに歴史的な視点から、人の移動や農業生産の変容の研究を行う。また、他地域のデータをもとにカカオ生産地域の比較研究に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航制限のため。渡航が可能になれば旅費で執行できる。難しいようならば、文献・資料・データベースなどの購入を引き続き行う。
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