研究課題/領域番号 |
19K20559
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 舞 京都大学, 経済学研究科, 特定助教 (30782297)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日常食 / 農村開発 / ブータン / 質的データ |
研究実績の概要 |
本研究はブータン国家主導の有機農業政策や現実的な近代化政策との合間におかれた小規模家族農家がいかに柔軟にそれに対応しているかを実証的に辿り、家畜飼養と食肉習慣の変容に焦点を当て、よりアグロエコロジカルな食農体系がどのように築かれうるかについて考察することを目的としている。
本年度は、ブータンにおける近代化の歴史を種苗開発政策から整理した内容をSeeds for Diversity and Inclusion: Agroecology and Endogenous Development (西川芳昭、マイケル・ピンバート編)の一章(Chapter 11. Bhutan’s ‘Middle Way’: Diversification, Mainstreaming, Commodification and Impacts in the Context of Food Security)としてまとめ、Springer International Publishingより出版した。
フィールド調査としては、ブータン国内の8県に住む32人のCollege of Natural Resourcesの学生たちの協力を得て、2021年8月から9月にかけて、夏休み中の2週間にそれぞれが日常的に食べた食事を「フード・ジャーナル」として写真を撮り、記録してもらった。それぞれの地域における暮らしと食生活の変遷に注目し、質的な情報を分析し、今後本や学術論文として出版する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ブータンの家畜と食肉習慣の変遷を通して、「食の主権」が構築されていくプロセスを把握するべく、4地域を中心とした農民と都市住民の食習慣、そして農業省の政府役員、種苗会社、精肉屋や研究者への聞き取り調査を進めてきた。しかし、長引くコロナパンデミックの影響で、2020年より予定していた現地調査ができないでいる。このことから、2021年8月に委託調査として収集したデータを利用し、ブータンにおける食習慣の変貌が農村及び都市部の食文化・アイデンティティ形成にどう作用しているのかを、質的データ分析(QDA)手法を用いて、解析を進めている。その結果は、学術論文、及び本として今後出版していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、これまでの調査で蓄積したデータの解析を進め、学術論文、編著本、及び超学際的な多言語本の出版を進める。海外フィールド調査の再開の目処が立ち次第、現地調査を行い、コロナパンデミックの影響で、近隣諸国との国境が閉鎖された経験から、ブータンが食料安全保障をどのように捉え直してきたのか、可能な限り多様な視点と取り組みを通して明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブータンでのフィールド調査を、委託という形で8-9月にかけて一度実施した。現地調査は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定していた渡航が不可能となった。次年度は、海外フィールド調査の再開の目処が立たてば、可能であればブータン渡航費、そして、現地における共同研究者との調査費、そして、学術論文、編著本、及び超学際的な多言語本の出版に当てる計画である。
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