研究課題/領域番号 |
19K20560
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
木村 公一朗 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 企業・産業研究グループ, 研究員 (10466071)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 競争 / イノベーション / R&D / 産業構造の変化 / 特許 / 中国 |
研究実績の概要 |
本研究では、競争が企業のイノベーションや産業構造の変化にあたえる影響を、成長著しい中国企業を対象に分析している。昨年度までは、先行研究サーベイやデータセットの整理、企業の技術開発行動の特徴の整理を行った。 今年度はまず、特許出願件数が増加している中国企業(情報通信技術[ICT]産業や産業用機械産業など)を対象に、先進国の先発企業や中国の同業他社の技術開発行動を分析した。具体的には、技術開発に注力している技術分野の異同やその変化に注目することで、技術分野の重複領域が増しているのか、それとも、差別化が増しているのかを確認した。その際、企業全体の傾向のみならず、各年ごとの傾向や、技術分野ごとの傾向もブレークダウンすることで、異同の変化を詳細に検討した。また、この分析のために、企業間の技術的な差別化や学習を明示することができるような手法も工夫した。 今年度はまた、昨年度分析した技術開発行動の特徴や上記の今年度の分析、既存の関連モデルや概念を援用しながら、理論的な分析も行った。今年度もパンデミックの影響で海外現地調査を実施することができなかったため、当初の予定より早めに、企業の技術開発競争の一般化を試みた。その過程で、企業間の競争がどのような段階を経ながら展開するのか、技術開発の内容が企業間でどのように多様化するのか、技術開発の相互作用がどのような過程をたどりながら産業全体が発展するのかなどについて、議論すべき点を整理することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト3年目は2年目に引き続いて、新興国企業の技術開発と競合他社のあいだの相互作用を分析することを目指していた。「研究実績の概要」のとおり、現地調査を実施することはできなかったが、技術開発行動とその分析方法について研究することができた。また、途中段階ではあるが、理論的な分析にも着手した。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト4年目は、企業の技術開発行動と業績の関係について、実証分析を行うとともに、その一般化のための理論分析も引き続き進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も予定していた現地調査を行わなかったため次年度使用額が生じた。パンデミックの影響が収まったら、現地調査を計画したい。
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