研究課題/領域番号 |
19K20575
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
大島 知典 阪南大学, 流通学部, 准教授 (20801913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 旅館経営 / ファミリービジネス / サービスマネジメント / 新型コロナウィスル感染症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ホスピタリティマネジメントの視点から、旅館の体質改善に向けたマネジメント手法を明らかにすることである。2020年度は①旅館経営の構造的問題の解明、②宿泊の情報検索から予約に至るまでの消費者行動の分析、③新型コロナウィルス感染症の影響下における旅館経営の動向の分析を実施した。 ①旅館経営に関する問題の多くが家業的な経営体制に起因することから、ファミリービジネスに関する文献調査を実施した。その結果、コーポレート・アントレプレナーシップやパラレル・プランニング・プロセスの欠如など旅館経営の構造的問題を多角的に明らかにすることができた。 ②情報化によるライフスタイルや価値観の多様化に基づく、旅館に対するニーズや情報検索から予約に至るまでの消費者行動の変化を分析した。その結果プレミアム消費、徹底探索消費の傾向が強く、旅行前のコミュニケーション戦略による期待形成が重要であることを明らかにした。 ③新型コロナウィルス感染症の感染拡大によって旅館は甚大な影響を受けた。感染症対策、資金繰り、人材流出など喫緊の課題に直面する一方、宿泊客の意識も変化する状況にあってwithコロナ・afterコロナの旅館経営が模索されている。個別事例を中心に旅館経営の動向を分析する中で、宿泊者の安心感を醸成するマーケティングの必要性を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来、2020年度は旅館とその提供サービスに関して消費者インサイトの調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症ならびにGo To トラベル事業などで消費者の意識や行動が大幅に変化しつつあることから、調査設計のタイミングを見直すことにした。また、新型コロナウィルス感染症への懸念から、事業者へのヒアリングに関しても実施することができなかった。一方、ファミリービジネスなどサービスマネジメント以外の領域の文献調査を終えることができた。さらに、新型コロナウィルス感染症の影響下における旅館経営の動向を分析したことにより、旅館経営の実態に即したサービスマネジメント研究が可能となった。以上より、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はサービスマネジメントとファミリービジネスの観点から複合的に分析した「旅館経営の構造的問題」、ならびに新型コロナウィルス感染症を踏まえたwith/afterコロナの「旅館サービスの再定義」に関して研究成果としてまとめる。また、新型コロナウィルス感染症の状況に応じて生産性向上および人材育成に関する旅館へのヒアリング調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していたアンケート調査を次年度に繰り越したため、また、新型コロナウィルス感染症への懸念から旅館へのヒアリング調査が延期となったため。次年度についてはアンケート調査の実施ならびに旅館へのヒアリングに未使用額を含めて使用する。
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