研究課題/領域番号 |
19K20575
|
研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
大島 知典 阪南大学, 流通学部, 准教授 (20801913)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ホスピタリティマネジメント / TQM / 旅館 / 生産性 / 付加価値 / 組織文化 / サービスデザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ホスピタリティマネジメントの視点から、旅館の体質改善に向けたマネジメント手法を明らかにすることである。2021年度の研究実績として以下の3点を示す。 (1)ホスピタリティマネジメントにおける生産性と総合的品質管理(TQM)の戦略的活用について、ノルディック学派の議論を中心に、文献レビューや宿泊ビジネスにおける先行事例を調査した。日本旅館ではホスピタリティについて誤った解釈がなされており、いわゆる「おもてなし」が生産性向上の阻害要因となっていることが明らかになった。 (2)宿泊ビジネスにおける生産性を改善する手法について、効率性と付加価値の観点から議論するために、旅館を中心に実態調査を行った。具体的には、旅館組織の理念と文化、バックオフィスのサポート体制、フロントオフィスの価値共創プロセスへの関与、インターナルマーケティングの状況についてインタビューを実施した。調査の結果、多くの旅館では、生産性の改善は効率化によって達成されるものと捉えられており、担当業務やシフトの見直し、マニュアル化、機械化の推進が積極的に取り組まれ、付加価値の向上に向けた取り組みが十分に行われていないことが明らかになった。現在はこの結果を論文誌への投稿に向けて執筆中である. (3)日本の宿泊ビジネスにおける生産性が低い要因について、宿泊ビジネスの事業特性と日本の観光産業構造の変遷の観点から分析し、研究成果としてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ホスピタリティマネジメントの分析フレームワークを示すとともに、旅館を対象にインタビュー調査を実施することで、生産性の改善に向けたマネジメント手法について新たな知見を得ることができた。しかし、新型コロナウィルスの影響下で、消費者の意識や行動が大幅に変化し、調査の効果が不透明であったことから消費者インサイトに関する調査を実施できておらず、研究成果にまとめる作業も不十分であることから、やや遅れているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は1)2020年度の旅館を対象とした調査で得られた成果を国内の学会で報告し、2) 調査手法を見直した上で宿泊サービスの価値に関する消費者インサイトの調査を実施し、3)宿泊サービスの高付加価値化に向けたマネジメント手法に関する文献調査を実施するとともに、高付加価値化による生産性の改善に取り組む旅館を対象に調査を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、宿泊サービスの価値に関する消費者インサイトの調査が実施できていないため、2022年度は調査項目を再検討した上で、アンケート調査を実施する。
|