研究課題/領域番号 |
19K20580
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 聖良 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(RPD) (20725915)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エンターテイナー / 日本 / フィリピン / 入国管理 / ジェンダー / NGO |
研究実績の概要 |
本研究は、在留資格「興行」の制度化と規制を取り巻く日比間の複数のアクターの言説に注目し、それらが外国籍移住女性のジェンダーやセクシュアリティをいかに規定しながら、女性たちの来日・就労を形成してきたのかを明らかにすることを目的としている。本年度はフィリピン国内でのエンターティナーに関する言説とエンターティナーとしての来日経験がある女性たちを支援してきたNGOについての調査を実施した。 まず、エンターティナー女性(“Japayuki”)に関するフィリピンでの言説編成を把握すべく、フィリピン国内で発行されている新聞・雑誌記事約70件を対象に、データベース化を実施し、日本のマスメディアで流布していた「ジャパゆきさん」言説と比較しながら、フィリピンのマスメディアにおける“Japayuki”言説を考察した。日比双方の社会的・政策的文脈の中で言説化されてきたエンターティナー女性について、送り出し国社会(フィリピン)では受入国社会(日本)よりも長期間にわたり、かつ女性のスティグマ化を強めた形で“Japayuki”言説が流布してきたことが明らかとなった。 次に、移住女性を支援してきたNGOに焦点をあて、分析をすすめてきた。具体的には、日本で移住女性のシェルターを運営してきた矯風会「女性の家HELP」の1980年代から2000年代初めまでのニューズレターのデータベース化を実施し、日本の民間シェルター活動で、移住女性が直面する搾取問題がどのように語られてきたのかを明らかにした。また、エンターティナーとしての来日経験がある女性とその子どもを日比双方で支援するNGOに注目し、各団体が発行するニューズレターを用いて、約30年間にわたる支援活動の変遷やその意義を資料報告としてまとめ、人身取引問題などの社会問題としてNGOが女性の移住労働を問題化し言説を生産していく過程について明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、これまでに収集した資料を用いてある程度研究をすすめることができたが、実施予定していた国内外の調査や文献収集が新型コロナウィルスの影響で実施困難となり、新たな資料等を収集することができず、現在まで進捗状況は予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初は対面でのインタビュー調査や国内外での研究機関・図書館で資料収集をする予定であったが、新型コロナウィルスの影響によって、一部の計画を調整する予定である。インタビュー調査では、調査対象者の意向を酌みつつ、オンラインやメール、電話等など実施可能な方法で引き続き模索していきたい。また資料収集についても、現在入手済みの資料の考察を精力的にすすめつつ、オンライン上での入手や郵送でのやりとりなど、入手可能な方法を模索して、研究計画を可能な限り達成していきたい。なお、本年度は現在執筆中の論文を所属学会等で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、本年度も国内外のインタビュー調査や文献収集が困難となり、時限度使用額が生じた。次年度も引き続き収集している資料のデータ化と分析をすすめつつ、現地に訪問せずとも可能となるような調査実施方法(オンライン・メール・電話でのインタビュー等)を検討しており、そのための周辺機器(高性能マイク・カメラ・ipadなど)や通信費、オンラインでの複写費として使用を計画している。また、オンライン学会での発表や国内外の雑誌への英語論文の投稿を予定しており、そのための翻訳・校閲費や学会参加・投稿諸費用としても使用を計画している。
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