研究課題/領域番号 |
19K20582
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
中嶋 泉 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (30737094)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本美術 / 女性画家 / フェミニズム / 戦後美術 / 占領期 |
研究実績の概要 |
本研究は、「女流画家」という現象が、第二次世界大戦後の日本の女性運動においてどのような意味を付与され、また機能していたかを、美術、大衆文化、占領政策などの言説分析を通じて明らかにすることを目的としている。 初年度である2019年度には、各美術館図書館、国会図書館、国立公文書館、東京文化財研究所等の国内の機関において終戦後、占領期における「女流画家」の言説にかかわる資料(書籍、雑誌記事、新聞記事等)を収集し、分析を開始した。その結果、この語と「女性の作り手」という概念が、戦後広く関心を呼んだこと、また使用される文脈(美術関係、政府、占領軍による文化政策、女性向けの大衆的媒体、男性向けの大衆的媒体)によって、含有する意味に大きな差異が存在することがわかり、戦後のジェンダー構造変化の様態、および文化にかかわる女性の政治的役割の側面が見えてきた。 研究成果として、まず、上記の調査結果の一部を反映させた著書『アンチ・アクションー日本戦後美術と女性画家』を9月に出版した。本書の執筆を通じて戦前の文化傾向との歴史的関連性がより明らかになり、研究範囲の射程や研究の方法について確認することができた。 また、研究対象の一人である草間彌生の60年代の活動について立教大学アメリカ研究所主催の連続公開講演会 「ニッポンとアメリカ」にて講演「草間彌生 ニューヨーク―東京」を行った。この発表を機会に、米国における戦後移民としての女性アーティストの複雑な自己表象に関する考察を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の一部を反映した書籍の出版、幅広い聴衆に対する講演活動を行うなど、本研究の一部を公共性の高い研究成果の公表に結びつけることができた。 他方で、新型肺炎感染防止対策により、2019年度3月に予定していた研究発表や調査が中止となり、初年度予定していた調査の大部分を次年度に延期することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、米国における調査を中心に遂行する。調査機関として、政府関連資料を米国国立公文書館、日米女性画家 の交流に関する資料を米国女流画家協会、ニューヨーク女性美術家協会、日米美術交流に関する資料をワシントン大学アーカイヴ特別コレクション等を予定している。 また1953年から 1960年を中心に行われた日米女流画家協会交流展に関する資料をニューヨーク・リヴァーサ イド・ミュージアム等にあたって調べる。 調査結果を次年度以降の学会発表などに結びつけるための準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型肺炎感染防止対策により、予定していた米国での調査やヨーロッパでの研究発表が延期となり、次年度使用額が生じた。計画を修正し、次年度に予定されていた発表と調査の遂行に用いる。
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