研究課題/領域番号 |
19K20585
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山本 由美子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (20716435)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 生物 / 進化 / 「普遍的人間」 / ポストヒューマン / 規範 / 生成 / 動的編成 / バイオテクノロジー |
研究実績の概要 |
本研究は、生命や身体の資源化をめぐるこんにち的な生政治とその統治技法を明らかにすることを目的とする。今年度は、生殖とテクノロジーをめぐる統治性をポストヒューマンの視点から問い直すことに重点を置いた。そのさい、特定の表象文化についての哲学的およびバイオテクノロジー的な分析と考察がきわめて有用であった。あらたな研究成果としては、書籍二冊にそれぞれ分担執筆で寄稿している。そのうちの一方は年度内刊行を達成したが、もう一方は編集作業の遅延によって次年度刊行となった。いずれの研究成果も、人間中心主義や、健常・ヘテロ性愛優越的な規範に内包された、矛盾および不公平を問題提起するものとなった。すなわち、生殖をめぐるテクノロジーの進展が「逸脱」の事象をもたらしているとするのであれば、それは既存の規範自体に内包されたマジョリティの特権性こそを浮き彫りにしていると解しうるのであり、むしろそのように解する必要性があるとみるべきなのである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
著書二冊のうちの一冊は、コロナ禍の影響を受けて、全体的な編集作業が遅延している。なお、当該著書の分担執筆原稿は入稿済みである。刊行は次年度となることが決定している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるので、生殖をめぐる統治権力のありようを多面的に総括していく予定である。研究会またはシンポジウム等の企画・運営により、あらたな知見を得るとともに、研究成果の統合と緻密化を図るものである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
感染拡大防止のため国内外の移動を控えたことによる(旅費使用なしとなった)。次年度は、研究会ないしシンポジウム等の企画と運営、研究成果の口頭発表等に注力するほか、最終年度として、総括に向けた研究成果をまとめる予定である。
|