トランスジェンダーの子を持つ親へ行ったインタビュー調査から、FTMの子を持つ親は、カミングアウト以前にも子育てをめぐって様々な衝突や葛藤を経験しており、それがその後の心理的変遷の土台となっていることが示唆された。子のジェンダーに直面する以前の子とのやりとりや、家族サポートが充実したものであればあるほど、自身のセクシュアリティ観の再構築、ひいてはジェンダーに悩む子の心理的受容に前向きになれるという傾向が示唆される。 この考察は、老年期の性を単なる衰退や消失ではなく、乳幼児期に端を発するセクシュアリティ体験の一貫として捉える精神分析学的な視座を援用している。
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