研究課題/領域番号 |
19K20591
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 麻衣子 早稲田大学, 理工学術院, 客員次席研究員(研究院客員講師) (10802580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ジェンダー |
研究実績の概要 |
近年,ジェンダーの多様性に関わる社会的な理解が広がってはいるが,性的マイノリティはマジョリティとどのように異なるのか,同じなのか,といったところはよくわかっていない. 人と人が理解する上で,個人の考え方を受け入れる過程は非常に重要であり,同じように認知特性としてマイノリティの考え方や感じ方を可視化しマジョリティが理解することが必要である. 本年度は,性的指向やジェンダーに関わる質問紙の日本語翻訳に注力した. この質問紙はジェンダーに関して身体的な性,心の性,社会的な性という3側面を含んでいる. 性の3側面をチャートに示すと,個人の性の違和感を可視化することができる. このように性の違和感の具体的な強度や特にどういった側面に関して違和感を持っているのかを可視化することにより,マイノリティは自身のモニタリングに活用でき,マジョリティ側はどのような支援や配慮が必要かを考える資料となると考えている. また,同質問紙を異性愛者に対しても実施したところ,一部の異性愛者は身体,心,社会的性のいずれかに違和感を感じていることがわかった. これは,同性愛使者や異性愛者といった二分化したカテゴライズではなく,マジョリティだと思っている個人の中にも多様な性が存在しているということを示している. 得られた性の多様性に関わるデータは,子どもを対象とした科学コミュニケーションを通じて発表した. このように,次世代やその保護者に対して性的な差別のない,多様性を受容する社会となるように成果の公表を続けていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスに関連した緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置により,研究活動の制限があったため一部の実験の中止や変更が生じた. 代替の実験プラン作成や,実験のオンライン化を行ったため当初の予定よりも研究の進捗が遅れている. 予定していた国際学会での発表も中止せざるを得なかった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,対面実験を想定していた実験プランをオンラインでデータ取得可能な内容に変更し,来年度スムーズにデータ取得ができるよう進めていた. しかし,所属する大学の対面授業が開始され研究活動の制限がほとんど撤廃されている状況にあるため,感染状況に注意しつつ当初のプランで対面実験を行うべく準備を進めている. また,L G B Tの関わるイベントや活動に関しても,これまで中止されていたものが再開されつつあるので,マイノリティイベントへ積極的に参加し,情報収集をする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外出張や国内出張ができなくなったため,差額が生じた。
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