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2019 年度 実施状況報告書

107番元素ボーリウムの錯形成と酸化還元

研究課題

研究課題/領域番号 19K20605
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

小森 有希子  国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 協力研究員 (50726370)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード超重元素
研究実績の概要

2019年度は、迅速溶媒抽出装置を構成する連続溶液化装置の改良を試みた。これまでに開発してきた連続溶液化装置は、90gNb(半減期14.6時間)や178aTa(半減期2.36時間)のような長寿命核種に対しては80%以上の高い溶液化効率を示すのに対し、90mNb(半減期18.8秒)のような短寿命核種の溶液化効率は約50%と低い。このような差が生じる原因として、(1)ガスジェット搬送された核反応生成物と水溶液の混合効率が悪い、(2)連続溶液化装置内に長寿命寿命核種が吸着し、蓄積されていることが考えられる。今回、核反応生成物の溶液化装置内の吸着を低減するため、装置内の容積を従来の23 マイクロLから1.8 マイクロLにした小型の連続溶液化装置を製作した。natZr(d,x)90m,gNbおよびnatHf(d,x)178aTaにより90m,gNbと178aTaを製造し、小型化連続溶液化装置を用いてこれらの核種の溶液化効率を調べた。その結果、短寿命核種である90mNbの溶液化効率は従来の装置とほぼ同程度であったが、長寿命核種である90gNbと178aTaの効率は従来の装置に比べ約20%減少した。これは装置の内容積を小さくしたことにより、装置内の長寿命核種の蓄積が減少したためであると考えられる。一方、短寿命核種の溶液化効率は従来装置と変わらなかったことから、短寿命核種の溶液化効率の低さはガスジェットガスと水溶液の混合に起因すると考えられる。半減期10秒のBhを高効率で溶液化するため、今後ガスジェットガスと水溶液の混合部を改良する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2019年度、短寿命核種に対する溶液化効率の向上を試みたが、結果として短寿命核種の効率は従来装置と同程度であった。この結果を受けてさらに連続溶液化装置を改良する予定であったが、製作を依頼している業者の都合で装置の製作が遅れているため、溶液化効率の向上は未だに達成できていない。

今後の研究の推進方策

連続溶液化装置のガスと水溶液の混合部を改良し、引き続き溶液化効率の向上を目指す。連続溶液化装置の下流にフロー溶媒抽出器と液体シンチレーション検出器を接続し、加速器オンラインの迅速溶媒抽出装置を完成させる。また、Bhの同族元素であるTc、Reのトレーサーを用い、TcとReの酸化還元とその溶媒抽出挙動の基礎データを取得する。

次年度使用額が生じた理由

溶媒抽出後の有機相と水相の純度をモニターするための液質センサを2台購入する予定であったが、液質センサを製作していた会社が急遽この製品を製造中止としたため、購入できなかった。代替製品を探したが見つからず、次年度使用額が生じた。この金額は2020年度にフロー溶媒抽出器または液体シンチレーション検出器の開発のための送液ポンプや放射線計測回路の購入に充てる予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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