昨年度に引き続き、連続溶液化装置の改良を試みた。本装置は90gNb(半減期14.6時間)や178aTa(半減期2.36時間)のような長寿命核種に対しては80%以上の高い溶液化効率を示すのに対し、90mNb(半減期18.8秒)のような短寿命核種の溶液化効率は約50%と低い。これまでの実験から、短寿命核種の溶液化効率が低い原因は、ガスジェット搬送物が水溶液と接触して溶解するのに10秒から20秒程度の時間がかかっているためであると考えられる。今回,ガスジェット搬送物と水溶液を迅速に、かつ効率良く混合するため、3種類の気液混合部を製作した。核反応生成物はキャリアガスとともに内径2 mmのテフロンチューブを通って搬送される。ガスジェット搬送物と水溶液が90度の角度で合流した後、1つは内径2 mmのまま連続溶液化装置に入り、他の2つは内径2 mmから1 mm、または内径2 mmから1 mm、さらに0.5 mmと徐々に径を小さくしながら連続溶液化装置に入る。これら3種類の気液混合部を連続溶液化装置に取付け、ガスジェットガスと水溶液を流したところ、いずれも気液分離ができることを確認した。 また、フロー液体シンチレーション測定用のセルも改良し、GARIS IIIに48Vビームを通している時の速中性子やγ線のバックグラウンド計数率の評価も行った。ビーム照射中とビームOFF時とで、αおよびβイベント領域の計数率に有意な差が見られなかったことから、速中性子やγ線による超重元素検出の妨害は小さいと考えられる。
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