研究課題/領域番号 |
19K20612
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
鶴田 真理子 宇都宮大学, 工学部, 助教 (80748202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 男女差 / 音の大きさ / ラウドネス / スティーブンスのべき法則 / 比率尺度 / マグニチュード推定法 / マグニチュード産出法 |
研究実績の概要 |
これまで,音の大きさの評価には男女差が存在し,女性の方が同じ音圧レベルの音を男性よりも「大きい」と評価することを明らかにした。過去の検討から,中国人を対象とした場合に「音圧と感覚量の対応関係に男女差がある」傾向が認められたことから,音の大きさの評価に男女差が生じる要因として「音圧と感覚量の対応関係に男女差がある」という仮説 (問1) を立てた。一方で,この傾向は日本人の場合には認められていないことから,文化的背景が影響する可能性 (問2) についても考えた。今年度は問1の仮説検証のために,日本人を対象として音の大きさの評価条件を細かく設定した実験を行った。この実験の結果,男女差が認められれば「音圧と感覚量の対応関係に男女差がある」こととなり,問1の仮説は支持されることとなるが,男女差が認められなかった場合には問2の文化的背景が影響する可能性が高くなる。 実験の結果,評価条件を細かく設定した場合でも日本人被験者では音の大きさの評価に男女差は認められなかった。さらに,音圧の感覚量の対応関係にも男女差は認められなかった。このことから,「音圧と感覚量の対応関係に男女差がある」のは中国人においてのみ認められる傾向であり,仮説は支持されない可能性が高くなった。さらに,この結果は日本人と中国人とで音の大きさの評価傾向が異なることへの裏付けにもなり,音の大きさの評価における男女差への文化的背景の影響を示唆する。これは先述の問2の問題でもあり,次年度に検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,問1の仮説検証を行うための実験,解析まで完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討から明らかになった結果を踏まえて,当初予定していた問2の問題を検証するための実験の準備を進める。これにより引き続き音の大きさの評価に男女差が生じる要因の解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者が年度の途中から産休・育休を取得し,当初予定していた国際学会への参加や物品購入などの予定がなくなったため,次年度使用額が生じた。次年度は予定していた物品の購入,今年度得られた成果の論文投稿などに使用する。
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