研究課題/領域番号 |
19K20613
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
安井 希子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (80607896)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 接近通報音 / 次世代自動車 / 準周期的な変動 / 認知容易性 / 認知可能距離 |
研究実績の概要 |
安心・安全な環境を提供できる接近通報音の評価基準の確立に向けた取り組みとして,国内外における評価実験を調査した.その結果,多くは屋外で実施しており,静かな住宅街と同じような環境ではあるが,環境音に相当する暗騒音の特性は研究者によって異なるものであった.一部の研究者は米国運輸省のNHTSAがNNPRM(Notice of Proposed Rulemaking)で規定している接近通報音評価用の騒音を屋外で提示しながら実験を行い,認知距離を測定していることを確認した. 調査結果より,屋外では実験環境を統制できないため,まずはシミュレーション環境の構築が必要と考えられた.そこで,聴取者と音源間の距離と音の大きさの減衰について調査し,実環境を想定したシミュレーション環境の構築を行い,その環境で測定した認知距離と屋外で実施した際の認知距離の比較を行い,シミュレーション環境の精度を評価した.実車実験を行った先行研究を参考に,「次世代自動車が接近通報音を発しながら,100m後方から20km/hの速度で被験者に接近する」という環境を実験室内に構築した.なお,被験者は車両走行中心線から2mの位置にいると想定した.音の減衰は様々な要因によって生じるが,本研究では距離のみを考慮した.精度評価では,先行研究において屋外で測定された認知距離を用いるため,シミュレーションでは先行研究の接近通報音を用いて実験を行った.実験結果を比較した結果,シミュレーションにおいて測定した距離は,屋外で測定した距離よりも数十m長く,実環境をモデル化できているとは言えなかった. 以上の結果より,シミュレーション環境と実験室内における認知距離の計算方法の見直しが至急必要であり,今後は,認知容易性に対する評価手法確立のための教師データを収集し,学習アルゴリズムの検討を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外における接近通報音の評価実験を調査した結果,実験環境が統制されていなかったため,屋外の実験環境を屋内で再現する必要性が確認され,背景騒音の合成とその再現を行った.しかし,屋外の実験環境の再現が不十分であったため,計画よりやや遅れている.再現のモデルと認知距離の算出方法の見直しを至急行い,認知容易性に対する評価手法確立のための教師データを収集し,学習アルゴリズムの検討を行う.
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今後の研究の推進方策 |
1年目では,認知可能距離測定のシミュレーション環境を構築し,屋外の実験環境を想定した背景騒音の合成を行った.しかし,屋外の実験環境の再現が不十分であったため,今後は,シミュレーション環境と認知距離の算出方法の見直しを至急行い,認知容易性に対する評価手法確立のための教師データを収集し,学習アルゴリズムの検討を行う予定である.
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