本研究の目的は、妊娠希望者及び子育て世代が安心して妊娠・子育てができるよう、市民のニーズに適した行政の妊娠・子育て支援のモデルを探求し、行政機関に向けた参考指標を作成することである。本研究はコロナ禍で海外現地調査が計画通り実施できず、研究計画の一部をオンライン調査に変更したが日本とフィンランドの子育て家族へのインタビュー調査やアンケート調査、現地調査、子育て支援に関する社会システムの文献調査を行い、妊娠希望者及び子育て世代のニーズに応じた行政の妊娠・子育て支援のモデルを学術と社会実装の両方で提示することができた。 本研究の成果は博士論文「サービスデザインの視座に基づく行政の子育て支援サービスに関する研究 Parenting Support Service in Public Sectors from a Service Design Perspective」にまとめ、行政機関における子育て支援サービスをデザインするための基本要件を提示することができた。そのほか、研究成果は国際学会と学術誌に4本の論文を発表し、いずれも社会へ広く公開した。加えて、現在、国際学術誌Journal of Design Researchへ2稿投稿し査読中である。 研究成果として福津市と共同開発した「子育てサービスマップ」を社会実装した。開発後は毎年更新を続け現在も多くの子育て家族を支援しているほか、子育て支援を担う行政職員へのサポートにもなっている。「子育てサービスマップ」は2021年度(第15回)キッズデザイン賞を受賞した。さらに「子育てサービスマップ」から展開した「子育て支援ガイドブック」、「子育て支援アプリ」を総合した子育て行政サービスデザイン「福津市こどもの国:子育てサービスマップ、子育て支援ガイドブック、アプリ、市ウェブサイト」が2023年グッドデザイン賞を受賞した。
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