研究課題/領域番号 |
19K20622
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
富田 誠 東海大学, 教養学部, 准教授 (50631826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視覚的対話 / 科学技術コミニュケーション / 協働研究 |
研究実績の概要 |
2021年度は前年度同様に新型コロナウィルス感染症の流行のため、研究計画時に想定していた対面型のワークショップ(以下、WS)は実施することができなかった。流行下において多くの研究会議がオンラインに移行したが、感染症の流行が収まった後もその傾向が続くことが予想される。そのため、本研究においてもオンラインでの実施を前提としたWSプログラムの開発をおこなうこととした。
そこで、2021年度は本研究の主たる特徴である視覚的対話がオンライン会議においてどのように為されるのかを明らかにするための研究をおこなった。複数人がオンライン上で描きながら通話をすることで、どのように意思疎通を行うのかを被験者を募って実験し共同注視や話者交替の観点からその詳細を明らかにした。これらは第22回オフィス学会で発表した。 加えて、デザインコンサル企業と共同で、ある研究機関の研究者を対象に研究者の内的動機に焦点を当てたオンラインワークショップを設計および実施した。WSはオンラインホワイトボードサービス(以下、OWB)を用いたが、グループに分かれた研究者が1つのOWBを用いて研究対話を進められる様子を確認した。これらのWS結果については日本デザイン学会第69回春季発表大会などで発表予定である。
研究計画時に想定していた等角投影図を用いた対面型の視覚的対話手法が用いることができず、最短距離の研究遂行とはならなかったものの、他の視覚的対話手法の検討や、学際的研究の実施フェーズに応じたWSプログラムの検討など、本来検討すべきであったことを確認する機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の計画は1) 視覚的対話の手法に関する調査研究、2) 研究者および研究支援者に対する調査研究、3) 視覚的対話WSの設計と開発、4)プログラムの実施検証及び公開、の4つの工程に分けられる。このうち1) および2)に関しては概ね終了している。一方、3)の「視覚的対話WSの設計と開発」については、オンラインWSも対象とすることとしたため、すでに設計済みの対面型のWSプログラムをもとにオンラインWSプログラムを設計した。 4)の「プログラムの実施検証及び公開 」については十分に完了したとは言えない。一方、プログラム実施後の検証方法については、相互行為分析やアクターネットワーク理論などを参考に、ワークショップがもたらす変容をより深く全体的に理解するための方法を得ることができた。 また、WSプログラムや対話ツールの公開については、ウェブサイトの基礎構築を終えており、WS実施後のプログラム修正が完了次第、掲載可能な状態である。 また、学内での研究交流会では本研究の成果を俯瞰的にまとめたものを発表し、それがきっかけで学内の領域横断研究に関するチームに加わることができた。他にも、他大学や研究機関でも学際的研究活動の支援の依頼を受けており、研究のフィールドを獲得することができた。以上のことから「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り研究の進捗に遅れが生じたため、補助事業期間延長をいただき研究を実施する。2022年度はWSプログラムの実施と検証、および公開を中心に進める。 WSプログラムの実施については、現在関わりのあるフィールドを主対象にしつつ、被験者募集をして複数回WSを実施する。 WSの検証については、オンラインWSの録画データなどから相互行為分析なうほか、インタビューなどを通じてWSプログラムがもたらすものを記述する。なお、実施と検証のサイクルの中でプログラムの内容は随時修正を加えていく。 WSの公開については、ワーク内容、成果事例、ファシリテーションのポイント、研究成果などを含めたWSプログラム書を制作し、ワークシートもしくはOWBのテンプレートなどにして、本研究成果を発信するウェブサイト掲載予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行により対面型のWS開催に関する費用が減ったことや、学会発表や研究交流がオンライン化に伴う旅費が不要となったことが理由である。 次年度は実験の録画データの保存のための外部記憶装置の購入やペン入力対応タブレットなどオンラインWSに必要な機器の購入、学会や研究会議が対面開催された時の交通費などに使用予定である。
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