研究課題/領域番号 |
19K20623
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
福岡 孝則 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (60641008)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気候変動適応策 / 減災都市デザイン / オープンスペース / グリーンインフラ / ハリケーン・サンディー / ニューヨーク |
研究実績の概要 |
気候変動時代に適応した減災都市デザインの戦略と社会実装手法の探求が本研究の目指すものである。来るべき災害に対して「具体的な空間像を伴いながら時間の変化に適応しつつ柔軟な計画をたてる空間デザイン手法」と「官学民の複雑な関係主体と議論を形成する参加デザイン手法」の双方を統合するような減災都市デザイン手法の探求が本研究独自の視点である。本研究は米国東海岸で起きた高潮による激甚な災害ハリケーン・サンディーからの復興・減災デザイン「リビルド・バイ・デザイン、Rebuild by Design、以下RBD」を対象とし、減災を核にした復興デザインの戦略、空間像を伴う柔軟な計画、復興プロセスへの参加手法3つの点に着目し、今後の日本の気候変動に応用可能な減災都市デザインの枠組みを明らかにすることを目的とする。 研究の進捗としては、RBDのうちニューヨーク市内に立地する2つのプロジェクト(Living with the BayおよびBIG-U)を対象に、文献・資料調査など基礎的な調査を進めた。加えて、2020年3月に上旬にニューヨーク市において部分的な現地調査を行い、Living with the Bayの対象敷地であるナッサウ一帯の調査およびプロジェクトデザイナーであるInterboro Partnersのインタビュー、BIG-Uの対象地であるマンハッタン島港湾部一帯の調査およびプロジェクトデザインーであるBIG、行政側の推進主体であるニューヨーク市公園局のインタビュー等を遂行した。1年目の成果としては、RBDという減災デザインの取り組みの大きな枠組みを捉えることができたが、膨大なプロジェクトの過程を今後どのような視点で捉えていくか調整が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究1年目となる2019年度は、米国における減災都市デザインの取り組みRBDのコンペ実施過程の概要やRBDの過程の一部、選定した2つのプロジェクト「Living with the Bay」および「BIG-U」プロジェクトに関する概要および組織体制などを把握し、基礎的な現地調査を遂行することができた。しかしながら、申請時に予定していたStaten島におけるRBDの選定プロジェクト「Living Breakwaters」を現地調査の難しさなど諸事情でナッサウの「Living with the Bay」に変更したこと、プロジェクトの内容、過程および関係者も非常に多岐にわたるため、研究対象と手法の精査と調整を行なったため研究の進捗は遅れているといえる。より減災都市デザイン的な視点にたち、減災を核にした復興デザインの戦略、空間像を伴う柔軟な計画、復興プロセスへの参加手法の大きな枠組みを捉える方向性で残り2ヵ年の研究の軌道修正を行い、進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度からは、研究2年目にあたるが1年目の研究で得たRBDの大きな枠組みや概要に基づき、引き続き 「Living with the Bay」と「BIG-U」を対象に研究を継続する。選定した2つのプロジェクトにおいて空間像を伴う土地利用の変容、及び導入されたグリーンインフラや減災に資する手法について類型化を行う予定である。加えて、プロジェクトにおける複雑な関係主体間の協働と参加手法について、ヒアリング等を通して詳細を整理する。 2020年度3月以降、コロナの影響で研究の実施方針などの見直しも必要となった。特に現地調査実施時期などは米国の情勢を見定めつつ、可能な範囲で実施を継続する予定である。現地調査を補う形としてオンラインによるインタビュー等は 積極的に活用して実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度において長期の海外調査が適わなかったため、2020年度の使用に繰り越して使用することとなりました。2020年度に実施予定の海外調査において使用を予定しております。
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