研究実績の概要 |
2020年度の研究実績は次の4点である.1)創造性に関する実証研究,2)創造性に関する理論的考察,3)関連文献の調査,4)1,2,3を踏まえた成果の発表.1では,建築の設計過程を対象とした,前年度までの研究成果を応用して,小説の創作場面など,異なるデザイン行為を対象とした実証研究を行った.その結果,創造的活動には,対象の違いを超えて共通するメカニズムのあることが示唆された.また,その分析過程では,従来からの方法に加えて,頻出パタンや相関ルールの抽出など,データの数量的特徴に注目した発見的手法の応用を試みたが,その有効性も確認することができた.これらは,代表者が主宰する研究室を通じて行われた.成果は,国内学会の口頭発表としてまとめられた他,現在は,論文誌の査読を受けている.2では,前年度までの研究成果を踏まえて,創造性を生態学的な視点(Gibson, J., 1979他)から捉える理論的な考察を試み,その概要を国際学会で発表した.3では,前年度に引き続き,創造性を生態学的に理解しようとする際に必要な文献の調査を行った.なかでも,知覚と行為への生態学的アプローチ(Gibson, J., 1966, 1979他)が提出された前後の時期,すなわち20世紀前半から中頃における,関連他領域の文献を調査した.一部については,さらに年代を遡って調査した.4では,以上の成果を国内外の学会を通じて報告した.1については,国内学会発表3件,査読付き学術論文への投稿1件(査読中)として,2と3については査読付き国際学会発表1件としてまとめられた.発表先は,日本認知科学会,日本デザイン学会,国際人間環境学会(IAPS 2020, 26th Conference International Association People-Environment Studies)である.
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