研究課題/領域番号 |
19K20624
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
関 博紀 東京都市大学, メディア情報学部, 准教授 (50713096)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 創造性 / 生態心理学 / 建築 / デザイン / 環境と動物との非対称性 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究実績は次の4点である.1)創造性に関する実証研究のまとめ,2)創造性に関する理論的考察のまとめ,3)関連文献の調査,4)1と2を踏まえた成果の学会発表.1では,前年度までに行った,デザインの制作場面に関する実証的研究を論文にまとめ,関連する論文誌に投稿した.これは,代表者が主宰する研究室で行った成果である.2では,前年度までの研究成果を踏まえて,創造性を生態学的な視点(Gibson, J., 1979他)から捉える理論的な論文をまとめ,関連する論文誌に投稿した.3では,前年度に引き続き,創造性を生態学的に理解しようとする際に必要な文献の調査を行った.前年度までは,知覚と行為への生態学的アプローチ(Gibson, J., 1966, 1979他)が提出された前後の時期,すなわち20世紀前半から中頃の文献を調査していたが,その後の検討を通じて,時代をさらに遡った文献調査を行った.そうすることで分析の精度が高まることがわかったためである.4では,以上の成果を関連する学会を通じて報告した.1については,国内学会発表3件に加えて,査読付き学術論文への投稿1件(査読中)である.2については査読付き学術論文への投稿1件(査読中)である.発表先は,Designシンポジウム2021などである.また,2020年度に公刊された,本研究課題に関連する論文に対して,日本認知科学会より奨励論文賞が授与された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は本課題の3年目であった.研究実施計画に沿って,関連する文献を収集し調査するとともに,成果を逐次まとめて,一部を発表することができた.また,前年度までの活動を通じて得られた,当初は想定していなかった新たな研究テーマについても考察を深めることができた.以上から,本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる.一方で,新型コロナウイルスの感染拡大によって,一部の活動に影響が生じた.現時点では,その影響は低く抑えられているものの,若干の遅れが生じたため,全体の進捗としてやや遅れているとした.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,残された実施計画を遂行し,最終成果をまとめる.予定している内容は, 1)関連する文献の収集と調査,2)成果のまとめ,の2点である.1については,前年度より行っている,創造性の生態学的理解に向けた歴史的背景の整理を継続する.2については,これまでの成果をまとめて,本研究の目的である,環境と動物との非対称性の由来を確かめ,創造性を誰もが身に付けられる「開かれた能力」として位置付けるための理論的基盤を構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は本課題の3年目であった.そのため,研究成果の報告として,国内外での学会発表と各種研究会への参加を予定していた.しかし,新型コロナウイルスの感染拡大によって,国際学会が延期となり,その他の学会や研究会も,延期やオンラインでの開催となった.また,同じ理由によって,研究実施場所である大学での活動が制限された.そのため,情報機器を中心に,研究遂行上必要な機材の導入時期が変更になった.これらの理由により,次年度使用額が生じた.ただし,研究の遂行状況は,これまでのところおおむね順調である.したがって,2022年度はこれまでに予定していた機材を導入し,実施計画に沿った使用計画を遂行する.
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