研究課題/領域番号 |
19K20631
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
澄川 靖信 東京都立大学, 大学教育センター, 助教 (70756303)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 計算論的歴史学 / 歴史情報学 / 情報検索 / Twitter / データ分析 |
研究実績の概要 |
本研究は歴史的類推を促進するための学習環境の実現に向けた、長期的な因果関係を表す複数の出来事全体を考慮した類似度測定尺度を利用する検索エンジンを実現することを目的とする。 この目的のために今年度は、(1)過去を参照するデータの分析、(2)因果関係を表す複数の出来事全体の類似度を評価するアルゴリズムの設計、(3)オンライン検索システムの構築、の3つの研究を展開した。
(1)本研究で実現する検索エンジンは利用者に制限を設けていないので、多くの人がどのような過去に関心があるのかを分析することが学習環境としての検索エンジンの実現では重要である。この目的のために過去を参照しているツイートデータを収集し、Twitter利用者の関心事を分析した結果を国際論文誌IJDLで発表した。(2) 本研究で実現する検索エンジンは、複数の出来事を時系列に並べ、線形リストとして表現した因果関係全体の類似度を基に結果を出力する。今年度は2つの線形リストで表現された因果関係同士の類似度を評価するアルゴリズムを設計し、DEIM2021で発表した。(3)前述した研究成果を踏まえ、多くの人が気軽に歴史を検索できるような検索エンジンを実現するための基盤としてTwitterのチャットボットを実現した。本チャットボットは、Twitter利用者からの質問を分析し、歴史DBの中から適切な解答となる過去の出来事をリプライする。このチャットボットの実現方法をまとめた成果を電子情報通信学会論文誌で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、当初の予定通り、データ分析、検索エンジン理論の構成、学習用オンライン検索エンジンの構築を行い、そのすべての成果を研究会や論文誌で発表している。この実績からおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発した因果関係の類似度を評価するアルゴリズムを国際会議に投稿する。また、本アルゴリズムを組み込んだ検索エンジンを実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19の影響で参加を予定していた研究会や国際会議がオンラインでの開催となったので、計上していた旅費について未使用額が生じた。2021年度は所属を異動したので、研究環境の構築のために物品を購入するための費用として計上する。
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