研究課題/領域番号 |
19K20637
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研究機関 | 大阪国際工科専門職大学 |
研究代表者 |
福田 一史 大阪国際工科専門職大学, 工科学部, 講師 (00723785)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メタデータ / Linked Open Data / 情報要求 / ビデオゲーム / 作品 / デジタルアーカイブ |
研究実績の概要 |
本研究は伝統的な図書館資料と類似点こそあるものの、異なる情報要求特性を有する資料である「ビデオゲーム」を対象に、その著作目録の構築・公開を目指すというものである。 2021年度の活動では、前年度までの活動の成果を引き継ぎつつ、設計したメタデータモデルの属性値の検討・設計、ゲーム著作を中心とする目録のデータ拡充、ならびにこれまでに構築してきたデータのより幅広ユーザへの訴求の方法として簡易型オンライン目録のシステム設計を行った。今回行った、オンライン目録設計では、実体・関連型のモデルのデータ構造を簡易化し、直感的に検索しやすいものとすることを主旨としたものであり、サービスの仕様とモックアップの作成を行った。目録のデータ拡充については、WikipediaやWikidataならびにIGDBなど、オンラインコミュニティにより構築・管理されるビデオゲームを対象とするリッチなデータセットのデータ活用の方法論を検討するとともに、データ接続および導入を本格的に進展させた。このような成果について、ゲーム研究およびデジタルアーカイブやデジタル・ヒューマニティーズをテーマとする研究会議での発表や、研究論文の発表などの活動を推進した。 研究成果として、2021年度は論文3件(うち査読2件)、図書1件(ブックセクション)、ディスカッションペーパー1件を発表した他、。学会・研究会での研究発表件数は7件だった。これらを通じて、研究活動そのものならびに、構築するデータセット・サービスの幅広い利用の促進を企図している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度活動では、2020年度に引き続きCOVID-19の影響があり、学会発表の機会の一部が失われたほか、対面で実施するデータ作成作業やインタビュー調査などの計画の大部分を見直しする必要性に迫られた。2021年度活動においてもそうであるが、とりわけ2020年度活動において大きく遅れが生じたため、研究機関の延長を申請した。 前述の通りコロナ禍による研究計画の遅れは生じたものの、2020年度と比べて様々な面で適応・改善が進みデータ作成者の労働が可能となってきており、データ作成については明確に進展があった。また、データ拡充の方法論として、前述の人的な目録作成による方法と合わせて、メタデータを用いた機械的なデータ接続と接続したリソースの属性値の継承といった方策も検討を進めた。特に後者については、20000件以上のデータ接続が確認でき、一定程度成果があった。すでに一部の拡充した著作目録は、オンラインサービス「RCGSコレクション」でのデータ提供されているが、全面的な適応までは進んでいない。今後それらデータの精度や既存データとの整合性などのチェックを行った上で、データセットそのものの更新・拡充を展開していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、著作目録を含むビデオゲーム資料のメタデータセットの拡張が一つの主要な目的となる。そのための外部データセットとのID接続については一定の目処が立っている。この接続の方法論をより洗練させ、網羅的なデータセットを確立すること、さらに既存データとの矛盾などエラーのチェックを行うことなどを経て、著作目録のデータセットとして一定の完成を見るものだと考えている。 また、その他の方策としては、2021年度に準備を進めた、新型の簡易オンライン目録の開発と公開および、それらの評価を進めることが一つの主眼となる。ここでは著作目録で構築したゲーム作品の内容に関する属性の値を適切に用いて、より便利に識別ならびに集中を可能とする機能を開発し、これを提供していきたい。 また、これまでに構築してきたデータセットやサービスの活用事例を集積することを一つの目標としたい。とくに、教育利用の事例研究や、データ活用ワークショップの開催などの活用事例収集を進めていく必要性が高い。 その上で、これらを活動を通じた研究論文ならびに学会発表などの研究成果発表を更に推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響が大きい。まず、第一に予定していた面接などの一部の調査が困難になったこと、第二にデータ作成などの作業の一部に遅れが生じたこと、第三に研究発表の機会をいくつか失ったこと、これらが次年度使用額が生じた主要な理由である。 今後の方針としては、一部の調査方針の変更を想定しているほか、開発するデータ検索・提供サービスへの活用の方法論検討という、当初想定していなかった新しい方針へも展開を進めていく。また、研究期間を延長したことにより、別途、学術論文、学会発表などの研究成果の発表機会を検討しており、これらは達成される見通しである。
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