本研究は複製資料であり、伝統的な図書館資料と類似する部分はあるものの異なった情報要求特性を有するリソースであるビデオゲームについて、その著作目録の構築・公開を目指すものである。2022年度の活動では、前年度までの活動の成果を引き継ぎつつ、設計したメタデータモデルの属性値の検討・設計、ゲーム著作を中心とする目録のデータ拡充、ならびにこれまでに構築してきたデータのより幅広ユーザへの訴求の方法として簡易型オンライン目録のシステム設計を引き続き実施した。 データ拡張に注力し、特に物理的実体を持つゲームパッケージ資料と、WikipediaやWikidataなどのオンラインコミュニティサービスで生成されたゲーム作品を接続し、データ拡張するための実践的検討を行った。これにより、データセットをよりリッチにするとともに、組織化を進めた。ここでは方法論として、タイトル・名称の編集距離や各属性のマッチングによるスコアリングによる自動化を試みた。また、作品・バージョン・パッケージ・個別資料といったリソースの関連からなる専門性の高いデータモデルをいかに広くユーザに利用してもらえる簡易・便利なウェブサービスを開発出来るかについて検証を行った。 このような成果について、ゲーム研究およびデジタルアーカイブやデジタル・ヒューマニティーズをテーマとする研究会議での発表や、研究論文の発表などの活動を推進した。 研究成果として、2022年度は論文2件(うち査読1件)、図書1件(ブックセクション)、その他記事2件を発表し、学会・研究会での研究発表件数は5件だった。これらを通じて、研究成果ならびに構築したデータセット・サービスのアウトリーチに努めた。
|