研究課題/領域番号 |
19K20640
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
羽鳥 康裕 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (30750955)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | fMRI / 多感覚情報処理 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
自然光景は高次の時空間的な統計的性質を有している。脳はこの統計的性質を利用し、情報処理を効率的に行っている。本研究では、皮質において保持されているモデル(外界の統計的性質)と、そのモデルが知覚に与える影響を検討することを目的としている。 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた脳活動計測実験の準備を行った。外界の統計的性質は注意の割り当てに影響を与えることが知られている。そこで、視覚皮質における注意の空間分布を測る実験を実施する。これは脳波計測により得られた「視覚皮質によって注意の広がり方が異なる」という知見から着想を得た実験である。特定の対象に注意を向けた状態で脳活動を計測し、低次から高次の視覚皮質における脳活動の分布を検討する。実験環境と実験の開発環境の不整合があったため、準備に時間を要したが、実験準備終了の目途が付いたため、来年度の前半にかけて実験を実施する予定である。 自然光景に含まれる統計的性質を抽出する計算論モデルの構築にも取り組んだ。ある光景には固有の音が存在する。このような光景における視覚と聴覚情報の対応を脳が学習している可能性がある。そこで、ある感覚刺激が他の感覚刺激の神経表現を生成するという仮説に基づき、視覚刺激が聴覚刺激の神経表現を生成するメカニズムを解明するための計算論的な検討を行った。具体的には、動画像の視覚情報から聴覚情報を予測するモデルの構築を行っている最中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
fMRIを用いた空間注意の分布を測る実験は今年度内に終了することを予定していたが、実験環境と実験刺激の開発環境の不整合があり、それを解消するために時間がかかった。解決の目途は付いたため、来年度前半には実験を行いたい。モデルについても今年度内に構築の目途を付けたかったが、大量の動画像を用いた高負荷の処理を行う必要があり、検討が遅れている状況である。よって、やや遅れていると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
fMRIを用いた実験を来年度前半に実施し、視覚皮質における空間注意の分布を計測する。また、効率的なモデル構築を可能とするために、計算機環境を見直す。これにより、次年度前半にはモデル構築に関する目途を付ける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
謝金として計上していたが、今年度は実験の実施までに至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に謝金として利用する予定である。
|