研究課題
若手研究
本研究では、申請者は相互予期を通した曖昧な指示を通した群れモデルを構築した。本研究を通じて、互いに「おおよその位置」を把握することで、群れが一つに纏まることを助け、また、「おおよその位置」であるが故に群れが一つの状態にまとまりすぎるのを回避するという、一見相容れない状態を矛盾なく実現することに成功した。さらに、このような曖昧な指示は、実際に鮎の群れを構成する上で、個体数に応じたさまざまな構造を作り出すのに貢献していることを、データ分析を通じて示した。
複雑系
本研究で解読しようと試みた曖昧な相互作用とは、群れにいる他者の行動を未来を含めて大まかに知覚することであり、その知覚を通して一つの社会性を実現する。本研究において示したことは、そのような相互作用を持つ動物の群れは単なる足し算ではなく、常に異質なものを取り込みながら群れのあり方自体を変容させていくという開かれたプロセスであることを示唆するものである。我々の研究を通して、群れの個性に合わせた活用という道が開かれるかもしれない。