研究課題
本研究は運動主体感に対するメタ認知、すなわち、「自分が制御している」という主観的な感覚に対してどのぐらい確信を持つのかという認識を研究テーマとしている。運動主体感のメタ認知の行動レベルの特徴を解明し、さらにその神経基盤を解明することを目的とする。2019年度は以下の研究を行ってきた。(1)運動検出課題を用いて、運動主体感の判断と運動主体感のメタ認知に用いる下位プロセスの違いを実験で検討した。具体的に、3つのドットから自分が制御できるドットを検出する運動検出課題を用いた。自分が制御できるドットにおいて、一定な角度誤差を入れる条件と他人の運動を混ぜる条件を組み合わせ、ドットの運動と自分の運動の間の規則性と予測誤差をシステム的に操作した。そこで、他人の運動の割合を試行ごとにstaircase法で調整し、運動検出課題の正答率を一定なレベルに固定したうえ、回答の自信を問うことでメタ認知のパフォーマンスを測り、規則性検出と予測誤差がメタ認知に与える影響を調べた。この研究はpreregistered reportとして投稿中であると同時に、すでに20人分の被験者実験を行った。(2)運動制御の増加と減少を検出する認知プロセス及び神経基盤の検討を行った。まず行動実験において、ドットに対する制御が20%増加または減少の条件を設け、検出感度を検討し、初期の制御レベルの影響を検討した。行動実験の成果をまとめた論文は現在投稿中である。次に、制御レベルが増加または減少することを検出する脳内神経基盤をfMRI実験を用いて検討する予定であり、現在予備実験が終了し、次に本実験に移る段階である。
2: おおむね順調に進展している
2019年度は主に2つの研究を行い、被験者実験を約60人分行った。その成果をまとめた論文を1篇投稿中であり、もう1篇のpreregistered reportが査読を受けております。当初計画した研究を順調に行い、計画通りに進展していると言えると考えられる。
2020年度では引き続き被験者実験を行う予定である。まずは投稿中のpreregistered reportで計画した実験を完了させ、投稿論文としてまとめる予定である。次に、運動主体感のメタ認知に関する神経基盤を解明するfMRI実験につきまして、現在は予備実験を行っている段階であるが、2020年度では本実験に移り、実行する予定である。
既存の機材を使用することになったので昨年度の物品費の支出が予定より少額でした。また、昨年度の出張が少なかったので旅費の支出が計画より少額でした。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Cognition
巻: 195 ページ: 104074~104074
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Consciousness and Cognition
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