研究課題/領域番号 |
19K20646
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ユ リラ 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (60760709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発達科学 / 乳幼児 / リズム知覚 / 知覚ー運動協応 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
他者とリズムを合わせる能力は、ヒトにおける協調的行動の基礎である。本研究では、ヒトとチンパンジーの比較認知科学研究(e.g., Yu et al., 2018)から明らかとなった、正確かつ迅速なヒトのリズムを合わせる能力の「発達的起源」を探求する研究を進展させている。乳幼児期2.5歳以前の発達過程に焦点を合わせて、他者とリズムを合わせる行動の出現時期を明らかにした。 2022年度は、Yu & Myowa (2021)と同様の実験場面で、2歳児を対象に収集したデータから、他者とリズムを合わせる行動の発達過程をより詳細に明らかにした。本研究成果は、オープンアクセスの国際学術誌Frontiers in PsychologyのResearch Topic "Entrainment and Responses to Rhythmic Stimulation during Development"に掲載した (Yu et al., 2022)。また、これまで行った比較認知科学および発達科学の観点から研究成果をまとめ、共同研究者の京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授が主催する国際ワークショップにて発表した。本ワークショップ後には、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構の長井志江特任教授と、他者とリズムを合わせる能力の背後にあるメカニズムについて議論を行うことができた。今後の共同研究が期待される。その他、「同期行動が乳幼児の援助行動に与える影響」に関する研究成果を、明和政子教授と当研究室の大学院生と取りまとめ、国際学術誌に投稿して現在査読中である(Todoriki, Yu & Myowa, in revision)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで収集したデータの解析結果から、本研究目的であるヒト特有の「リズムを合わせる能力」の発達過程の一端を明らかにすることができた。研究成果を着実に国際学会で発表し、3本の研究論文として国際学術誌へ投稿した(Yu & Myowa, 2021; Yu et al., 2022; Todoriki, Yu & Myowa, in revision)。なお、Yu & Myowa (2021)に関しては、発達科学分野の国際学術誌 Infancy の最近2年間のTop cited articlesに選出された。当初予定していた実験室訪問型のデータ収集は、新型コロナ感染症拡大防止のため当該年度も延期したが、新たな分析方法により、これまで得られた種差および種内の個体差を理解できる共同研究の立ち上げが期待される。そのため、進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の前半は、研究代表者の事情により(出産および育児)、研究中断を予定している。研究再開予定の9月からは、これまで収集したデータを中心に、新たなデータ解析と共同研究を進める予定である。研究結果は、国内および国際学会へ積極的に参加し、本研究成果の発表を行う予定である。また、並行して国際学術誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の前半は新型コロナ感染症拡大のため、後半は代表者の事情(妊娠)のため、主にオンラインで学会参加した。そのため、交付申請時に予定していた国際学会および国内学会参加のための渡航がなくなり、旅費を支出することはなかった。また、予定していた実験室訪問型の研究遂行が困難であったため、調査協力者への謝礼金の支出も生じなかった。以上の理由から、交付金の次年度使用を申請した。 次年度においては、現在査読中の「同期行動が乳幼児の援助行動に与える影響」に関する研究で得られたビデオデータから、新たなビデオ分析を行う予定である。そのため、ビデオ分析に伴って発生するリサーチ・アシスタントへの謝礼金の支出を予定する。また、国内の共同研究者との打ち合わせのため、旅費の支出を予定する。得られた研究成果は、国内外学会での発表に伴う旅費ならびに、オープンアクセス型国際学術誌掲載に向けて、英文校閲費ならびに論文掲載料を計上する。
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備考 |
Yu & Myowa (2021) was selected as a Top cited article published in Infancy between 1 Jan 2021-15 Dec 2022
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