予想時間評価とは将来の事象や取り掛かる作業に要する時間を推定する認知機能である。しかし、この認知に対する海馬の関与は不明だった。これを明らかにするため、本研究では、ヒトの海馬活動の機能的磁気共鳴画像計測(fMRI)と皮質脳波計測(ECoG)を行った。さらに難治性てんかん患者の頭蓋内に留置した電極を介した電気刺激による海馬活動への介入、てんかんの外科的治療法である海馬多切術を受ける患者の手術前後の時間推定行動の変化を調べた。その結果、予想時間を反映する海馬活動を発見しただけでなく、海馬への外科的介入による予想時間が変化することが判明した。これは海馬が予想時間評価の機能を担うことを示唆している。
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