研究課題
若手研究
本研究では、視線の動きを記録するアイトラッカーという実験機器を用い、イヌが使役動物化される鍵となった視覚認知能力に迫った。その過程においてヒトとの関係の中で独自に獲得した認知能力、特に視覚的な意思疎通の成立において動き情報が果たした役割に焦点を当てた。ヒトや箱に対する指さし定位画像への注視の結果から、ヒトは動き情報がなくても定位を理解する一方で、家庭犬は動き情報が理解に重要な役割を果たしていることが示唆された。また盲導犬はヒトや家庭犬とは異なる注視パターンを獲得していた。
比較認知科学
本研究により、動きを伴う動的視覚情報がイヌ・ヒト間の意思疎通において重要であることが明らかになった。また家庭犬と盲導犬で異なる結果を示したことも踏まえると、イヌの使役動物化の過程で動き情報の理解および訓練の効果が鍵となる役割を果たしたと言える。またイヌの訓練において動きをコミュニケーションシグナルとして利用することで効果的な訓練法となることが期待できる。