研究課題/領域番号 |
19K20661
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉村 裕一郎 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (90826471)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 医工学 |
研究実績の概要 |
本研究は,救急医療現場における診断支援の為,CT画像より『外傷性出血部位』を画像診断技術により自動検出システムを作製することである. 現在までの進捗として,従来の画像処理アルゴリズムと機械学習手法を組み合わせることにより,深層学習のみ(一般的なAIのみ)では数千程存在するFPを,数%程にまで削減する事を達成した.これは申請者が人工知能研究にのみ知見を有するのではなく,画像処理技術者であるために,達成した成果である. また応募時に一部提案を行っていた,アノテーション用インタフェースは大幅な改良が行われており,共同研究者の所属する千葉大学医学部附属病院救急科の医師や放射線科の医師によって使い心地に関する評価などが行われている.更に上述した最新のアルゴリズムを同ソフトウェアに搭載することにより,医師のみによる読影.医師+提案システム,提案システムのみによる,比較評価実験を行うに至っている. 本プロジェクトでは,共同研究者である救急科医が複数の外部の病院より,臨床データ収集を行っており,現在1000例を超える症例が集まりつつある状況である.一方で,CTデータに対する外傷性出血のアノテーションは,動員可能な人員の都合もあり十分には進行していない.そこで救急科の連携先組織では,専門家による監修の基,情報管理に十分注意を払った上で,どのようにすればオンラインでも読影が行うことができるかについて検討が行われており,実際に外部企業によって,アプリケーションの開発が進行している. このように,本プロジェクトは複数の組織,企業との連携が開始,或いは進行しており,今後も研究を進捗していくことが可能であると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的な研究成果として,国内外の学会発表や論文誌への投稿も実施しており,連携先も増加するなど,研究プロジェクト自体は概ね順調に進行している.一方で,本研究の基となる臨床データの収集は順調に進んでいるものの,医師によるアノテーションデータ作成の進捗が十分ではないため,特に深層学習を用いた手法においては,データセットサイズが理由と考えられる,性能不足が懸念されている.よって,今年度はデータの増やし方についても検討する必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り,臨床データの収集を今後も進めていくと共に,工学的研究についても実際の臨床現場で活用できるよう,価値を高めていく.またこれまで研究を進めてきたことにより,データ収集とアノテーションを効率化する必要性を感じている.確かに短期的な進捗には寄与しないかもしれないが,中・長期的にデータを大量に収集することも検討を進めるため,それをシステマティックに実現する方法について,検討したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本件は0円での執行を予定していたが,予算執行依頼に対する,事務側の手続きミスにより,計算機購入時の端数が生じた. 執行予定に関しては大きな変更はなく,論文投稿や学会参加に向けた諸費用,及びリソースや,データストレージの拡充に使用する.
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