研究課題/領域番号 |
19K20664
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小沢 文智 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (00739120)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 組織工学 / マイクロ流体デバイス / ハイドロゲル / 再生医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、免疫隔離能をもつマルチコア-シェル型の細胞ファイバーを作製し、内部に血管網を構築した高機能なマクロサイズ組織を開発することである。これにより、近年行われているiPS細胞から分化した体細胞を用いた組織構築技術に発展させ、細胞壊死を防ぎながら大きい組織を構築することで高機能な臓器を再現し、かつ移植安全性が担保された新たな治療法が可能になると期待される。 初年度は、3Dプリンターとガラス管を用いてマルチコア-シェル型ファイバーを作製するためのデバイスを開発した。開発したデバイスに蛍光ビーズ懸濁液とアルギン酸ナトリウム溶液、ゲル化させるための塩化カルシウム溶液を流して、マルチコア-シェル型のファイバーを作製できることを確認している。さらに肝臓の再構築をモデルとし、血管内皮細胞HUVECとヒト肝癌由来細胞HepG2をカプセル化したマルチコア-シェル型の細胞ファイバーを作製し、共培養を行った。共培養を行ったファイバーの内部でHepG2とHUVECはそれぞれ細胞外マトリックスを介して生存をしており、内部で増殖・伸展をすることで3次元組織を構築していった。さらに、血管成長因子を産生するhMSCを加えた3種類の細胞をカプセル化したファイバーを作製し、同様に共培養を行った。しかし、細胞外マトリックスや細胞濃度、細胞間距離をはじめとした培養条件の最適化ができておらず、血管網を構築するには至っておらず、十分な血管網を構築するための培養条件を現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年はマルチコア-シェル型のファイバーを作製するためのデバイスを開発し、ハイドロゲルファイバー内で細胞を培養することに成功し、計画通りに研究を行えた。 しかし2020年に入り新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究の進捗が滞ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において、マルチコア-シェル型ファイバー作製のためのマイクロ流体デバイスを開発し、細胞培養を行うことに成功している。今後がファイバー内で細胞の共培養を行うことで、血管網を構築した3次元組織構築を行っていく。 血管網構築の有無で細胞の生存や機能に違いがあるかをin vitroで評価する。 また、作製したマルチコア-シェル型の細胞ファイバーがin vivoで機能を発揮するかどうかを検証するため、マウスを用いた移植実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に入り新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、受注試薬の納入が難しくなりその分差額が生じた。 その分の試薬に関しては受注ラインが再開した後に発注予定である。
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