脂肪性肝疾患の肝臓を対象に組織に含まれる分子と硬さの関係について検討が行われた例が報告されている. 脂肪性肝疾患の特徴はびまん性の疾患である点であり試料全体で比較的均質である. 本研究ではラットの脳内の一部に局在する腫瘍を計測対象として,病理学的に腫瘍領域・周辺領域・非腫瘍領域の3つの領域の分子分布と硬さ分布を計測して比較した.分子分布では周辺領域の脂質近傍領域からも腫瘍に関係する脂質が検出されたが,硬さの面では周辺領域と非腫瘍部の違いは小さかった.以上の結果より組織の硬さの変化は脂質の蓄積だけでなく,細胞の構造的変化による変化の要因が強いことが示唆された.
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