研究課題/領域番号 |
19K20667
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山村 健史 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10709091)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 焦点調節画像 / 大腸腫瘍 |
研究実績の概要 |
2019年度に様々な大腸腫瘍の内視鏡観察法で焦点調節画像を試し、白色光観察やpit pattern観察よりもImaged enhanced endoscopy拡大観察が最も本方法の条件に合致していると考えられた。また撮影法も動かす速度や画像の取り方などを色々と試し、最適な条件を決定した。 次に撮影技術固定されたところで作成した焦点調節画像が内視鏡医に与える影響に関して検討した。具体的に作成した画像を動画と静止画単位で視認性や診断能の検討を行い、どこまで診断能が向上し得るかを評価した。初学者と熟練者に分け、それぞれを主観的評価と客観的評価に分けて検証した。その結果、客観的評価である診断精度(正診率など)は初学者と熟練者共に焦点調節画像になっても有意な改善は認めなかったが、主観的評価(読影結果の信頼度・画像の質の評価など)は両者で有意に改善した。また診断時間も同様に両者で改善した。以上より、焦点調節画像が内視鏡医に与える影響は主観的評価の向上であることが明らかとなった。これまでの結果については現在、論文投稿中である。 3D構築については2020年度に試行したところ、画像を構築することは可能となった。ただし精密な図を作成するには、現技術ではまだ精度に問題があることが判明し、画像をマッチングさせる特徴点を大幅に増量し、それらを高速処理で処理時間を増やさない技術を名城大学と共同で開発していた。しかしコロナ蔓延による影響で相互の交流停止となる事情があり開発が遅れている。現在再度構築のプログラムを模索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3D構築については、前技術ではまだ精度に問題があり、評価は困難と判断した。動画の特徴点を大幅に増量し、それらを高速処理で処理時間を増やすことのない技術を名城大学と共同で開発しようとしているが、コロナ蔓延による活動停止時期などがあり十分な成果を得るに至っていない。現在は違うアプローチからの方法も模索している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、焦点調節画像が内視鏡医に与える影響に関しては成果を得ており論文投稿を進めている。 今後の研究の方向としては、3D構築を可能とする方法の確立を目標としている。以前の画像をマッチングさせる特徴点を大幅に増量し、それらを高速処理で処理時間を増やすことなく3D構築を可能とする方法だと特徴点を合わせる部分で、対象の移動距離により正確性にやや難があることが分かった。ハレーションを除去する技術を進めたが、それ単独では良好な画像を作り出すことは困難であった。そのため特徴点を増やすことにより、同一物体のずれをより正確に感知し、3D化することを目指している。また別の方法も模索をしている。3D画像が構築可能となれば、実際の内視鏡手技において周囲(襞や蠕動による変形)との関係を3D画像構築することで、事前の有用な情報となりうる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ蔓延により研究計画に遅れを生じているため次年度使用額が生じた。 翌年度は現在取り組み中の技術開発と、精度の向上を上昇させることを目標とし、交流を密に行い連携を取る。次年度の使用計画では現在進めているマッチング焦点調節における必要機器の購入、大量データの保存用電子媒体の購入、論文投稿料、海外学会での発表における旅費・参加費に使用する予定である。
|