研究課題/領域番号 |
19K20678
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
舘 一史 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (40377544)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロサージャリー / 微小血管吻合 / 溶接 / 通電 / 血管吻合器 / 血管吻合機 |
研究実績の概要 |
本年度には,大型の溶接デバイスの試作器を3Dプリンターを使用して作製した(ピンセット型). また,通電時間を正確に制御するデバイスを自作で作製し,この溶接デバイスに接続し,牛の血管(口径10mm前後)の溶接実験を行い,通電時間,電流,電力と溶接の強度の関係について定量的に計測した.その結果,電力が増大すると,溶接部の力学的強度が増大するが,一定の閾値を超えないと,容易に溶接部が離開することが確認された.通電時間は3秒程度が最小でも必要であるが,それ以上通電をしても強度には影響がないことも確認された.これによって,電流の強さと時間の最適化を個々の血管で行うことができるようになった.血管壁の厚さも溶接部の強度に大きく影響していると考えられた.そこで,対象血管の口径を5mmにして,デバイスを作製することとした. 血管口径5mmまで縮小したデバイスの試作品をデザインし,内部構造(通電部分)の構造を設計した.対象口径を5mmに縮小すると,内部の通電部分の構造が小さくなるため,製造方法に工夫が必要となった.電子基板作製の技術を応用して,プロトタイプを作ることし,電子基板作製技術を実際の練習用の自作電子基板を作製することを通じて学習した.デバイスの構造上の課題は大きく2つあることが分かった.一つは,血管接合をした際に,デバイス同士も接触するため,金属部分同士が接触すると,ショートしてしまうため,それを避けるための構造が必要であること.また,デバイス(外郭はプラスチック等で作製)の内部構造に金属部分を埋入する必要があり,機械的に削ることでは対処できず,薄膜技術等を利用するなどの必要があることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小さなプラスチックの本体の中に,金属部分を埋め込む必要があるが,極めて技術的なハードルが高いことがわかった.また,高度な技術を使うと,試作機だけで予算が足りなくなってしまう(もしくは,予算内では試作機も作れない)可能性があり,比較的安価で,試作機が作れる方法を模索しているため.
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今後の研究の推進方策 |
・電子基板を作製する技術を高めることで,自作の電子基板(外注を含めて)を作製し,可能な限りシンプルな構造で,血管口径5mmを対象としたデバイスのプロトタイプを作製する. ・上記プロトタイプを作製した後,ラットの大動脈やトリの動脈でex vivoで血管溶接実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
大型のデバイスの試作は,他研究室のものを無償で借りることができたため,コストが発生しなかった.また,血管口径5mmを対象とする試作品にはコストがかかるものの,まだ,内部構造の製造方法がみるからないため,発注していないことによる.
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