研究課題
若手研究
本研究は、マイクロ曲面上で血管平滑筋細胞が示す挙動の詳細を観察するために、培養面の曲率を操作可能な新しい細胞培養技術の開発に取り組んだ。変形する曲面の上で血管平滑筋細胞を培養し、培養面の曲率の変化に対する細胞の配向追従挙動の観察を初めて実現した。さらに細胞培養系に改良を施すことで、曲面上で細胞が発する張力の計測に取り組み、培養面の凸形状が平滑筋細胞の表現型を収縮型に誘導することを示唆する結果を得た。
メカノバイオロジー
本研究は、これまで生物学分野で焦点が当てられてこなかった「培養面のわずかな曲率が細胞に与える影響」を解析するための新しい技術基盤を構築した。そして、単一細胞よりもはるかに大きい直径数mm程度の曲面が細胞の配向や表現型に影響を与えることを実験的に明らかにした。これらの知見は、将来の再生医療において、細胞の挙動を制御し、体外で組織や臓器の構築を行う際の、足場材料の形状設計指針となることが期待される。