研究課題
アルツハイマー型認知症は変性したタンパク質の蓄積を伴った神経細胞の脱落により、情報伝達に障害が生じる中枢神経疾患である。その治療には薬物療法・運動療法・音楽療法などの対症療法が用いられるが、未だ根治療法は確立されていない。認知機能の回復には損傷した神経細胞が回復し神経回路が再構築することで情報伝達が正常に行われる必要がある。そこで、iPS細胞を用いた再生医療技術の理解はアルツハイマー型認知症の治療法確立に重要となる。本研究では、ヒトiPS細胞由来神経細胞移植による認知機能の改善における神経回路再構築および作用機序の解明を目的とする。2019年度研究計画では、アルツハイマー型認知症疾患モデルマウスおよびヒトiPS細胞由来神経細胞を用いた脳神経細胞の再構築に焦点を当て研究活動を実施した。iPS細胞由来神経細胞を認知症モデルマウスに移植することで認知機能が改善することを見出しているが、移植した神経細胞が情報伝達物質である、アセチルコリンおよびGABAを産生することを明らかにした。また、これらの神経細胞を認知症モデルマウスの神経損傷部位、海馬周辺に移植することで、移植した神経細胞と損傷せずに残っていた神経細胞により神経回路が再構築することを見出した。これらの成果から、iPS細胞由来神経細胞移植により認知機能が改善した脳神経では移植した神経細胞により神経回路が再構築されていることが明らかとなった。これらの研究成果より、神経細胞を用いた再生医療はアルツハイマー型認知症において重要な治療方策であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
本研究では神経細胞移植による神経回路の再構築の可視化が主目的であったが、本年度の研究活動にて大きく進展した。来年度は神経細胞移植による認知機能改善とその他の症状の関連についても解明する。
アルツハイマー型認知症では認知機能障害などの中核症状と不安・うつ症状などの周辺症状が認められる。そこで神経細胞移植にて認知機能改善の認められた疾患モデルマウスの認知機能および周辺症状との関連を解明する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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