研究課題/領域番号 |
19K20681
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
村山 正承 関西医科大学, 医学部, 講師 (60737675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 精神神経症状 / ヒトiPS細胞 / 雌雄差 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症は神経細胞の脱落により、情報伝達に障害が生じる中枢神経疾患である。認知機能の低下だけでなく精神神経症状にも異常を呈することが知られている。加齢・性別・精神神経症状感受性などがアルツハイマー型認知症の危険因子であると考えられている。 アルツハイマー型認知症の疾患モデルマウスとしてPDAPP Tgマウスが知られる。一般に、加齢した疾患モデルマウスを用いて病態解明を目指した研究が行われるが時間とコストがかかる。そのため年齢・性別も加味した疾患モデルの性質の理解は効率的なアルツハイマー型認知症研究に繋がる。 そこで若齢の野生型マウスおよびPDAPP Tgマウスをこれらの危険因子に着目した行動解析・統計解析を実施した。その結果、メスのPDAPP Tgマウスは若齢においても空間学習能に関わる認知機能が低下しており、なおかつ精神神経症状と関連することを明らかにした。一方で、オスのPDAPP Tgマウスの認知機能および精神神経症状は野生型マウスと同程度であった。興味深いことに、いずれもマウスも空間参照記憶能は若齢期においては正常であることが明らかとなった。この結果から、精神神経症状の安定は空間学習に関わる認知機能低下の抑制に繋がることが示唆され、認知症対策に重要な知見となることが期待される。また、メスPDAPP Tgマウスは若齢においても精神神経症状の悪化に伴い認知機能が低下する性質であることから、研究活動の時間とコストの削減に有益な成果を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究活動における時間とコストは重要な要素である。一般的に加齢したマウスを用いるアルツハイマー型認知症研究だが、本研究成果はその現状に一石を投じる研究成果を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
認知機能と精神神経疾患感受性の関連を今年度は明らかにした。延長した次年度研究ではヒトiPS細胞移植による認知機能改善における精神神経症状を評価することで、アルツハイマー型認知症治療策の確立に向けた重要な研究成果を得ることを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行による実験材料の手配の遅延等により研究計画に遅れが生じたため。2020年度に実施予定だった研究計画を引続き遂行する。
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