| 研究課題/領域番号 |
19K20687
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| 研究機関 | 科学警察研究所 |
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研究代表者 |
角田 英俊 科学警察研究所, 法科学第二部, 研究員 (80773936)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 指紋の蛍光寿命イメージング / ナノ秒パルスレーザー |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、レーザーパルスを試料に照射してから数ナノ秒程度遅れた時間（遅延時間）において撮影した蛍光画像を利用している。
令和元年度は、パルス幅約５ナノ秒のパルスレーザーを用い、遅延時間を数ナノ秒から十数ナノ秒に変化させて、各遅延時間にICCDカメラで試料全体を撮影した計十数枚の蛍光画像から、蛍光寿命画像を構築するプログラムを作成した。スライドガラス上に押捺した指紋を波長280nmのレーザー光で励起させた場合に対して構築したプログラムの正常動作を確認し、指紋の蛍光寿命画像を取得することができた。
280nm励起時の指紋の蛍光は、より長波長のレーザー光による励起の場合に比べて蛍光強度が強く、また背景物質であるスライドガラスの蛍光は相対的に小さいため、上記のことは、まずは撮影が比較的容易と考えられる条件において指紋の蛍光寿命画像を取得する一連の流れを確認したことに相当する。得られた指紋の蛍光寿命画像は、各画素の蛍光寿命の値をどのように図示するか（例えば蛍光寿命の値のいくつからいくつまでを何色で表示するか、等）によって指紋の見易さが異なり、蛍光寿命の値の図示方法について課題があることがわかった。
より長波長による励起として、波長532nmのレーザー光で白色セラミック上に押捺した指紋を励起した場合について指紋の蛍光寿命を測定した結果、これまで波長355nm励起で報告されている蛍光寿命の値とほぼ同程度の値であることを確認した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、初年度である令和元年度からフェムト秒レーザーを使用する計画であったが、初年度は指紋の蛍光寿命画像を取得する一連の流れを確認することを優先し、より使用実績のあるナノ秒パルスレーザーを使用した。フェムト秒レーザーは令和２年度より使用予定である。
試料の蛍光を線状の視野で分光して撮影する際、線状の固定視野に対して試料をスキャンして試料全体を撮影するために使用する電動ステージは、ステージと制御コンピュータとの通信の確立までで初年度を終えた。引き続き電動ステージの自動制御環境の整備を行い、分光方式を用いて指紋の蛍光寿命画像を取得する。
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| 今後の研究の推進方策 |
以下の４点を行う予定である。
フェムト秒レーザーを用いた光学系を構築し、フェムト秒レーザーを用いて指紋の蛍光寿命測定を行う。電動ステージの自動制御環境を整備し、分光方式を用いて指紋の蛍光寿命画像を取得する。指紋を押捺する背景物質の種類を増やすとともに、励起波長を可視光領域を中心に、先行してナノ秒パルスレーザーを用いて検討する。より見易い指紋画像を提示するために、指紋の蛍光寿命の値の図示方法について検討を進める。
これらを通して、ナノ秒パルスレーザーとフェムト秒レーザーによる指紋の蛍光寿命の測定精度の差異の有無や、蛍光寿命画像の見え方に違いが生じるか等について調べていきたいと考えている。
また、分光方式を用いて、微弱な蛍光を波長領域で集めて最大限活用するとともに、波長ごとに蛍光寿命に差異があるか否かについても調べたいと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度はフェムト秒レーザーに優先してナノ秒パルスレーザーを使用したため、
フェムト秒レーザー用の光学部品代として次年度使用額が生じた。
令和２年度は、フェムト秒レーザーの光学部品を購入するとともに、指紋を押捺する複数の背景資料の購入のために使用予定である。また、学術集会の開催状況に合わせて、学術集会に参加し成果発表及び情報収集を行う。
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