| 研究課題/領域番号 |
19K20687
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| 研究機関 | 科学警察研究所 |
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研究代表者 |
角田 英俊 科学警察研究所, 法科学第二部, 主任研究官 (80773936)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 光を用いた指紋の非破壊検出 / 指紋の蛍光寿命イメージング |
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| 研究実績の概要 |
指紋が付着することが多い紙について、紙の色と励起波長が蛍光寿命イメージングによる指紋可視化に与える影響を調べるため、白色紙と付箋（桃、黄、緑、青）について、励起波長280nm、355nm、445nm、532nmに対する蛍光強度と蛍光寿命を調べ、指紋と比較した。
その結果、上記の紙は、上記のどの励起波長においても蛍光強度が指紋のそれより２～５桁大きく、また、上記の紙の蛍光寿命はいずれも２成分であり、短寿命成分が0.9～2.5ns、長寿命成分が2.1～7.5ns程度であった。このうち長寿命成分は指紋の蛍光寿命3～6nsに近く、紙と指紋との上記の蛍光強度差も考慮すると、指紋の蛍光が紙の蛍光に埋もれてしまうことが予想され、用いた紙は通常の時間分解分光では指紋可視化が困難な試料と考えられた。
しかし、現状全ての組み合わせは確認できていないが、このうち445nm励起で特異的に強く光った付箋（緑）と、532nm励起で特異的に強く光った付箋（桃）では、指紋より蛍光強度が５桁ほど大きいにもかかわらず、蛍光寿命イメージングにより指紋の一部またはほぼ全部が可視化された。一方、指紋より蛍光強度が３桁程度大きい場合では、現時点では指紋が可視化された例は見つかっておらず、蛍光強度がある閾値より大きい場合に蛍光寿命イメージングによる指紋可視化が可能となる可能性が示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「指紋が付着した物質の蛍光強度が、指紋の蛍光強度よりも著しく大きいほうが蛍光寿命イメージングによる指紋可視化につながる可能性がある」という、通常の予想とは逆の当初予期していなかった可能性が浮上し、その確認及び原因の考察に時間を要しているため。
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| 今後の研究の推進方策 |
指紋が付着した物質の蛍光が著しく強い場合において、蛍光寿命イメージングにより潜在指紋が可視化された例の再現性の確認と原因の解明を行っていく。なお、本事例では励起レーザー光に対する各遅延時間において、試料全体の蛍光を一度に撮影している。
これに対し、試料の細い線状領域からの蛍光をスリットに通し、分光しながら試料をスキャンする方式による蛍光寿命イメージングついては、令和３年度までに指紋可視化例を確認しており、今後、本方式を適用する試料数を増やしていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初、現地参加を予定していた国際会議がオンライン参加となり旅費を執行できなかったため。今後、情勢に応じて国際会議等に参加し成果発表を行う。また、学術誌に投稿する論文の英文校閲に使用する。
指紋を押捺する背景試料などの実験試料及び光学系の改善に使用する光学部品を購入予定である。また、本研究課題に使用しているレーザー装置のメンテンナンスを行う。
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