研究課題/領域番号 |
19K20689
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
齋藤 淳史 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (30714539)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マイクロ磁気刺激 / 脳・神経 / 細胞・組織 / 8の字コイル / リアルタイムイメージング |
研究実績の概要 |
本研究では、脳深部領域を局所的に刺激可能なマイクロ磁気刺激法の確立に向け、局所刺激性能の向上を目指した8の字型のマイクロコイルを製作するとともに、マイクロ磁気刺激による刺激空間分布を定量的に評価するための計測手法を開発することを目的としている。計画2年目となる2020年度は、前年度に製作した8の字型マイクロコイルを使用し、(1)8の字型マイクロコイルから発生する磁束密度および連続通電時のコイル表面の発熱特性を評価した。加えて、(2)培養神経細胞を用いた8の字型マイクロコイルによる刺激誘発応答の評価を行った。上記に関し、以下の成果を得た。 (1)8の字型マイクロコイルより発生する磁束密度と発熱特性の評価 微小なチップインダクタを用いて8の字型マイクロコイルを製作し、通電時に発生する磁束密度の評価を行った。微小な磁界測定プローブによりマイクロコイル近傍の磁束密度を測定した結果、85 kHz正弦波で10 mT以上の高強度磁界を1 mm以下の微小な領域に生成できることを確認した。また、光ファイバー温度計を用いてマイクロコイルの表面温度を測定した結果、5分間の連続使用条件下においても発熱によるコイル表面温度の上昇がみられないことを確認した。 (2)培養神経細胞を用いた8の字型マイクロコイルによる刺激誘発応答の評価 製作した8の字型マイクロコイルを用いて培養神経細胞を用いた刺激誘発応答の評価を行った。誘導電流が集中する8の字型マイクロコイルの交点近傍に培養神経細胞を配置し、刺激誘発応答の有無を細胞内カルシウム濃度変化の蛍光イメージングにより評価した。実験の結果、培養神経回路網における同期した発火パターンが磁界ばく露に依存して変化する傾向がみられた。 以上の結果より、本研究目標の達成に必要となる8の字型マイクロコイルの性能評価に関して本年度の目標を達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロ磁気刺激に必要となる8の字型のマイクロコイルの製作とその性能評価が順調に進み、培養神経回路網を用いた磁界ばく露実験に着手できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、製作した8の字型マイクロコイルを実験動物に適用し、脳深部における刺激誘発応答のイメージングを試みる。これにより、脳深部刺激に向けたマイクロ磁気刺激法の有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:研究の進展により、購入予定であった装置の仕様を変更したため。なお、装置の仕様変更に伴う研究計画への影響はない。 使用計画:次年度より開始する動物実験用消耗品の購入に使用する。
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