体内金属イオン濃度の調整は重要な生体機能の一つであるが、その人為的な制御は極めて難しい。金属錯体を造影剤として用いるバイオイメージング法が注目を集めたが、金属イオンが代謝されず残留するなど重大なリスクを抱える。また、金属代謝異常症に起因する属中毒症など、様々な難病に対しては、キレート剤の投与により体内で錯体の生成を誘導し、排出を促進させるキレーション療法が行われているものの、その効率が極めて低い上、排出系に深刻な副作用を起こす。本研究では、これらの問題点を克服し、目的の金属イオンを送達、または、異常蓄積された金属イオンを捕獲・排出する、安全かつ有効なナノメディシンの開発に成功した。
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