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2019 年度 実績報告書

血液適合性高分子材料における癌細胞の認識性と運動能の制御メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K20697
研究機関九州大学

研究代表者

荒津 史裕  九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助教 (70750446)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2020-03-31
キーワード血液適合性高分子材料 / 中間水 / がん細胞 / 細胞認識性 / 細胞運動
研究実績の概要

本研究では、高い血液適合性・生体親和性を有する合成高分子ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)およびその類似体の基板表面において、どのようにしてがん細胞のみが選択的に接着し細胞運動が制御されるのか、その分子機構の解明を目的とした。
手法として、物性の異なる各種高分子基板におけるタンパク質の吸着性や構造変化、がん細胞の認識性、運動性の変化を計測・解析し、高分子の表面物性との相関性について詳細に検証した。PMEAおよびその構造の一部を改変させた類似体を合成し、含有する中間水量が異なる高分子を得た。これら中間水の含有量が異なる高分子を被覆した基板表面において中間水量に依存して細胞が接着する際の足場となるタンパク質の吸着量および変性量が変化し、がん細胞の接着性や形態に違いが確認された。特に、細胞接着において重要な役割を担うインテグリンに着目したところ、中間水の含有量によってインテグリン依存的および非依存的な細胞接着様式が確認された。また、高分子中の中間水量に依存してがん細胞の運動の指向性(移動速度や方向性)に違いが確認された。以上より、中間水量の異なる血液適合性材料において中間水によりタンパク質の吸着挙動やがん細胞の接着様式が変化してがん細胞の運動性が制御されることが示唆された。
今後は、各種高分子材料の水和構造やタンパク質の吸着挙動に焦点を当て、がん細胞が選択的に接着して運動指向性が制御される分子機構を明らかにし、高分子材料の構造や中間水量により血液適合性や細胞の認識性、運動指向性がどのようにして制御されるのか、その基礎的知見を得る必要がある。
本研究成果により、血液適合性、がん細胞の認識性・運動制御能を有する高分子材料の設計手法を確立し、がん細胞や抗がん剤の効果的なスクリーニングシステムやがんの超早期診断法、生体内に埋入可能な制がんデバイスを創出して医療への応用を目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Blood-Compatible Poly(2-methoxyethyl acrylate) Induces Blebbing-like Phenomenon and Promotes Viability of Tumor Cells in Serum-Free Medium2020

    • 著者名/発表者名
      Tsai Meng-Yu、Aratsu Fumihiro、Sekida Shogo、Kobayashi Shingo、Tanaka Masaru
    • 雑誌名

      ACS Applied Bio Materials

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1021/acsabm.9b00885

    • 査読あり
  • [学会発表] 血液適合性高分子材料におけるがん細胞の認識性と運動性の制御メカニズムの解析2019

    • 著者名/発表者名
      荒津史裕, 蔡孟諭, 小林慎吾, 田中賢
    • 学会等名
      第41回日本バイオマテリアル学会大会
  • [学会発表] がん検査への応用を目指した血液適合性高分子材料上でのがん細胞生存性評価2019

    • 著者名/発表者名
      関田将五, 荒津史裕, 穴田貴久, 田中賢
    • 学会等名
      第9回 CSJ化学フェスタ2019

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公開日: 2021-01-27  

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