研究課題
心房細動は世界人口の高齢化に伴い、患者数が急増しており、本邦においてもその患者数は間もなく100万人を超えることが予想されている。心房細動は脳梗塞リスクを5倍、心不全リスクを3倍上昇させる。また心房細動症例に対するカテーテル治療は目覚ましい進歩を遂げているが、依然としてアブレーション治療後の再発は臨床的に重要な課題である。このため、心房細動発症・再発ハイリスク患者の早期発見と治療介入は公衆衛生学上喫緊の課題である。従来、心房細動によっておこる左房のリモデリングは左房拡大でしか評価することができなかったが、我々は左房拡大前の早期の左房機能低下の検出を最新のスペックルトラッキング心エコー法で行ってきた。糖尿病や耐糖能異常は動脈硬化性疾患において強いリスク因子であることが示されてきたが、心房細動における重要性は検討されていない。本課題においては、心房細動患者における糖代謝異常の有病率とそれが左房形態や機能に及ぼす影響を明らかにすることを目標として研究を進めた。その結果、心房細動患者の6割以上で糖尿病又は耐糖能異常がみられることが分かった。さらに、糖尿病は左房機能低下と強く関連するのに対して、耐糖能異常の存在は左房リモデリングに与える影響は小さい結果であった。このことは慢性的な血糖値の上昇が左房リモデリングを進める可能性を示唆するとともに、心房細動患者において耐糖能異常から糖尿病への進行を抑制することの重要性を示すものと考えられた。
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